最近、複数のルートから「日本のサイバーセキュリティ能力はひどく低いんだってね。企業は何しているの」という話を聞くようになった。そのうちのいくつかはルーツをたどることができて、春にある米国の識者が「日本のIntelligence能力が低く、サイバーセキュリティ性が低い」と発言したことに端を発していることが分かった。
この識者の方は、僕も面識がある海軍提督だった人。数年前国際シンポジウムでパネリストをした時に、質問に立ち「このままの憲法で日本が守れるのか?」と仰った。当然産業界としてお答えできる問題ではないので「パネルの中で、まだ積み残していることがあると申しあげたひとつがそれだ」と言うに留めた。
この方の意図は、
・安全保障を担う国家としてのIntelligence能力が低い
ということ。これら点は間違っていなくて、昨日紹介した高市大臣の発言なども、これらの課題を危惧してのものだ。決して産業界が怠慢で、社会の安全性を損なっていると言っているわけではないと思う。
それが、どうして冒頭のような話になるかというと、
・識者の発言は「国家としての能力」という前提だが、その部分は省略している
・理由は、聞いている人は当然それを知っている人だけだから
・しかし、ビデオ等で聞いた人(特に日本人)には前提を知らない人もいる
・前提も知らず、翻訳して国内に伝える時にニュアンスも欠落する
・翻訳文を見聞きした人は、有力者の発言ゆえに盲信してしまう
・さらに「xxさんがこう言っていた」として発言が拡散される
なのではなかろうか。
何人かの日本産業界の識者と話し合ったが、結局「日本産業界の努力やストロングポイントを、国際的に発信しつづけること」しかないだろうということに落ち着いた。例によって苦手な英語の発信になりますが、なんとかお手伝いしたいと思いますよ。