2週間ほど前、三重県鈴鹿市役所などを訪問してインフラメンテナンスの現場を見せてもらった体験を紹介した。霞ヶ関のビル内での議論はずいぶん聞いていたのだが、やっぱり現場を見ると実態が分かってくる。それなりの規模があり財政的にも比較的余裕のある鈴鹿市にしても、随所に工夫しながらなんとか凌いでいるというのが実態だ。
最後に見せてもらった「伊勢大橋のかけ替え」のような100年越しの、国の直轄事業ならともかく、日本全国でインフラメンテナンス戦略の立て直しは急務である。霞ヶ関の人も含めて、現場を見ると新たな思い(大半は危機感)が湧いてきたところで、座長の大学教授の呼びかけによる勉強会が開催されることになった。僕は、
1)国を含めて、公共事業にかける予算は充分か?
2)地域インフラ維持の主役である、自治体の体制はどうか?
3)実際に手を動かす委託業者の技術・体制・要員は足りているか?
の3点を確かめるのが先決と感じた。というのは、昨年、
公共事業予算が使いきれない - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)
で紹介したように、公共事業予算について(財務省系の人からだが)疑義が出ていたからだ。もしこの記事が言うように「使いきれない」なら、3)の委託事業者が不足しているのだから、予算確保よりキャパシティビルディングが焦眉の急である。
勉強会本番前に、この記事の真意を(不躾ながら)聞いてみた。すると、
・確かに年度末で使い切れていない予算があるのは事実
・しかし補正予算などは、当該年度で使えるはずもなく、次年度回しになる
・公共事業は完成までに時間がかかるもの、支払いが予算年度を越えることも多い
との回答だった。5~6兆円の公共事業予算は、その年度で支払いが終わるものではないので、応分の「積み残し」に決算上みえるが、使えないから積み残しているのではないということだ。
そんなわけで、ちょっとだけ安心して勉強会を迎えた。一緒に鈴鹿など巡った先生たちは全員霞ヶ関に集合、他の委員の皆さんはオンラインでの参加となった。冒頭、今回の現場ツアーで得た危機感を座長が説明され、議論が始まった。
<続く>