Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

インフラメンテナンス産業論(2)

 国交省では、これまで述べてきた日本のインフラの老朽化対策を考え続けていて、指針となる文書をまとめようとしている。今回集まった委員たちは、それを監修する立場にある。霞ヶ関のこの種の会合は、ともすれば「予算獲得のための官僚の作文を追認する御用学者の集まり」になるかもしれないのだが、この場は違う。官僚の面々にも危機感があるし、座長の教授の並々ならぬリーダーシップで委員の皆さんが真剣な議論をしている。

 

 前回の現地視察はそんな意識から生まれたし、現場を見て僕自身も「これは大変だ」との思いを強くした。急遽開かれた「勉強会」でも、

 

鈴鹿市亀山市は財政的に恵まれた方、そうでない自治体をどう救うか

・公園などは自治体任せでもいい、道路等はネットワークとして連携が重要

・広域連携は有効な手段だが、自治体同士の連携は誰が音頭をとるのか

・県の単位でも、人口の少ないところを中心に力が不足している

 

 と「もっと国が前面に出て、手も口もカネも出すべし」との意見が相次いだ。鉄道・通信・電力などは、民営とはいえ比較的大きな企業がこれを担っている。しかし道路や河川などは、技術・財政力がまちまちな自治体がこれを維持しなくてはならない。

 

    

 

 国の指針を示す文書だから、必然的に自治体がどうすべきの記述が多くなる。しかし昨日述べたように、国・自治体だけではできないのがこの仕事。自治体等から作業を委託される事業者のことも考えなくてはいけない。座長は常々「インフラメンテナンスがちゃんとした産業になるべし」と主張されていた。

 

 僕が黙っていると、座長が「NINJAさんはどう思うの?」と振ってくれた。そこで、

 

・委託事業者を含めたDXが必要だが、零細事業者ではできない

鈴鹿で意見交換した企業は、3~8名の従業員という規模

・DX以前に、IT導入し適切な運用ができる企業の規模は年商300億円ほど

クラウドなど外部サービスも増えているが、やはり100億円は欲しい

 

 鈴鹿市の例のように、複数企業でジョイントベンチャーを組むことはできる。しかし業務の標準化ができていないと、真の統合は果たせない。やはり法人として統合され、ガバナンスの効いた事業体としての年商100億円規模は要るのだと言った。

 

<続く>