Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

Trusted Web白書(3)

 「Surface Web」のさらに上層「Trusted Web」では、信頼されるデータの転々流通ができる。あるデータの流通を考えると、その受け渡しには6種類の主体が関与する。

 

A:大元の出し手

B:この受け渡しの出し手

C:この受け渡しの受け手

D:さらにその先の受け手

E:受け渡しに関する評価者

F:評価者を認証するアンカー

 

 これら全体が、主体の認証・内容の認証・属性の認証をする「Authentication」の枠組みの中に入ることになる。具体的には4つの機能が想定されていて、

 

1)Identifier管理機能

 主体Bが自分の識別子(ID)を発行して、属性(年齢・連絡先等)を必要な範囲で紐づけることができる機能。現在はサービス毎に識別子と属性が(プラットフォーマーに)決まっているが、これを主体の意思で管理できるというのがミソ。

 

2)Trustable Communication機能

 主体BとCは、Eから評価を受けた自らの属性を、必要な範囲で相互に開示する。これによって(最初の取引でも)相手の確からしさを確認できる。

 

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3)Dynamic Consent機能

 主体BとCの間で、データのやり取りに関する条件設定と合意をさせ、さらに結果を管理することができる。特殊な条件を付けることも、その合意を得ることもダイナミックに行うことで、安心できる流通を促進する。

 

4)Trace機能

 合意形成のプロセスや、その後条件が履行されているかどうかをモニタリングし、適正であるかどうかを検証できる機能。渡したらあとは分からない(Fire and forget)にならないための仕掛け。

 

 こうして書き連ねるといかにも面倒くさそうだが、機能のほとんどは自動化されているので「慣れればどうということはない」ように思う。主体AについてはBに渡る前のプロセスで、主体DについてはCから渡る際のプロセスで、同様の手順を踏むことになる。その際にも主体Eは(別のEかもしれないが)関与するし、Eか信頼できるはFが評価しお墨付きを与える。Fは政府がその役割を担うこともあろう。

 

 このスキームは、マルチステークホルダーによって管理監督される必要があり、スキーム全体の透明性も必要だ。そうスキームをどうやってガバナンスするかが、大きな課題だ。

 

<続く>