Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

G20デジタル大臣会合のプレイベント

 今年のG20の議長国は日本、6月末の大阪サミット前に(モノによっては後に)いくつかの大臣会合が予定されている。僕の専門領域であるデジタル分野では、6月前半に貿易デジタル大臣会合という形でつくば市で開催される。何年か前のG7で、デジタル大臣会合の前に「マルチステークホルダー会合」というものが開催された。

 

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 この意味は、デジタル経済には政府だけではなく、産業界や学界、さらには市民団体まで含めてマルチのステークホルダーが絡んでくるので幅広い人たちを集めて意見を交わしてもらおうということ。この考えはG20にも受け継がれていて、この日は新宿都庁近くのハイアット・リージェンシーでいくつかの講演とパネルディスカッションが行われた。

 

 G20に先立って、各国の民間・産業界が集まるサミットとしてB20というものがある。今回は経団連がとりまとめで、3月にB20としての議論内容が発表されている。その最初にあるのが、デジタルトランスフォーメーション。特にデジタル革命を進めるために、データの活用を促進する政策のフレームワークがいるという主張が一丁目一番地だった。

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 冒頭あいさつに立った佐藤総務副大臣も、日本政府が提唱している「Society5.0」を繰り返していたし、基調講演に立った東大総長は「Society5.0」は国連の目標であるSDG’s(持続可能な開発目標)に寄与すると言った。なんでもインターネットにつながってしまう社会「Society5.0」は理念としては面白いのだが、つながればいいというものではなく、マルチステークホルダー間でデータ(情報)の共有や活用ができて初めて意味のあるものだ。

 

 例えばSDG'sの目標のひとつ「飢餓の撲滅」を考えると、食料の絶対量があっても飢餓は起きる。欲しい人のところへ食料が届かなかったり、欲しい人がいることすらわからなかったりする流通上の課題の方がずっと頻発する。ニーズとシーズのマッチングであれば、デジタルでつながることで改善できることは多い。

 

 その後は、各国の政府の人、国際機関の人、業界団体の人、ジャーナリスト、学識経験者など多種多様なひとが登壇して持論を述べた。大きな方向性(デジタル活用 ⇒ つながる社会 ⇒ エコな地球)には異論は出なかったが、その実現手段については同床異夢といってよかろう。このような議論、まだまだ続きますね。