Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

電波行政の在り方

 「東北新社」の官僚高額接待事件からNTTの接待にまで話が及び、対象が官僚に留まらず当時の大臣・副大臣にまで広がってしまった。1万円を越える会食の件数や、処分を受けた官僚の退職金の話などがメディアを飛び交っているが、今ここで考えるべきは「電波行政」、もう少し過激に言えば「電波利権」をどうするかということではなかろうか?

 

 かつての郵政省には、メディアの人物が頻繁に出入りしていた。特に何かをするということではなく、ゴルフの話や呑み屋の話など雑談をし、タバコの灰をまき散らして歩いているだけ。とても記者とはよべないのだが、ツウの人は「波取り記者」と呼んでいた。つまり波こと電波を、割り当ててもらうためのロビー活動をしているわけだ。

 

 僕の、のちに総務省の一部となる郵政省との付き合いは、最初は郵便・郵貯関連の事業。後にはデジタル政策のからみで、欧米とのデータ流通・活用の交渉、あるいは地方のDXによる創生のような事だった。郵便・郵貯簡保についての問題や、データ活用・地方創生についての課題は、ある程度理解していた。

 

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 しかし電波(というかメディア)の世界については、僕はタッチしたことがない。だから今回名前の出た人たちが、そんなことに絡んでいたのかと聞いて驚いたわけだ。また「東北新社」とは付き合いはないが、NTTの人達とも付き合いは深い。電電公社の昔は知らず、いまは民間企業だと思っていたから、TOPは特別公務員で株式の1/3は国家保有、人事も政府の意向次第というのには驚いた。特別公務員が高級官僚や政治家を接待したら、これって「官官接待」じゃないか。

 

 根本原因は、電波の割り当てを行政が恣意的にできることにある。OECD諸国の多くは(民生用の)電波はオークションで割り当てが決まる。日本もそうすべきだと、僕は思う。そんなガラガラポンになったら既存企業が困るし、そこを第二の就職先にしている官僚も困る、献金や支援をもらえなくなる政治家も困る・・・という図式で現状の割り当て方式が続いているとしたら、これを契機にオークションの検討に入るべきではなかろうか。別業界だが、元官僚の書に、

 

独特のメンタリティ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 電力会社と経産省の関係が書かれていた。

 

 とうとう谷脇元総務審議官も辞職だそうです。サイバーセキュリティなどでは貢献のあった人物だけに残念ですね。