東北新社の総務省幹部接待事件は、方々に影響を呼ぼしそうな雰囲気だ。そもそもBS/CS/地上波の許認可権を、総務省という巨大官庁が持つべきではないという意見も誘発している。本来は市場原理に従って認可が与えられるべきなのに、そこに行政の恣意的な何かが入るというのは好もしくない。「文春砲」の録音テープに名前の出てきた、小林史明元総務政務官は、どのようにお考えなのだろうか?
いつそんなオピニオンが出てくるかなと思っていたら、在米国のジャーナリストから僕の感覚に近い記事が出た。
日本の電波行政を歪めている真犯人はだれか? | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
この記事を要約すると、
(1)接待問題の本質は「電波行政の歪み」である。
(2)ただ「BS/CS/地上波のビジネスモデル」そのものが危うい。
(3)TVではなくネットのコンテンツを見る人が増えている。
(4)ネット事業者は全部外資、国外からのサービスだから税金を払わない。
(5)日本のコンテンツや視聴者は、外資のえじきになっている。
というもの。(1)から(2)までは僕も理解できる。この記事には競争原理か、既得権益の擁護かを争っている場合ではないとあるが、僕は市場原理にゆだねるべきだと思うし、BS/CS/地上波対ネットと考えるより、BS/CS/地上波+ネットの全体で市場原理に任せればいいと思う。それが(3)への反論だ。
さらに(4)と(5)は、よくある外資悪者説。とても信じられないので、この記事をネット配信大手のN社の知り合いに送って反論を聞いた。
・N社の日本法人は日本の会社、当然日本で税金を納めている。
・日本の視聴者にはより良いサービスを、コンテンツにも正当な対価を払っている。
とのことだ。外資企業とはいえ日本人は多く雇用しているし、株式は公開だから日本人でも買える。僕は付き合いの深い外資企業の株は持たないようにしているが、そうではないIT企業の株は取引している。「外資」といっても僕の付き合いのある企業は全部コスモポリタン。サイバー空間に国境はないので、こういうセクショナリズムを煽る記事は迷惑だ。