函館のレストランで、「美味しいのだが、接客がまずい」という印象は僕らも持ったし、「食べログ」などの評価にも表れていた。質も含めての人手不足が原因だろうと推測している。それに比べると、さすがは丸の内。料理はもちろん、ワインの説明・勧め方・注ぎ方も立派なものだ。
ハーフの白ワインも決してテーブルワインではなく、名の通ったもの。さわやかな香りにさっぱりとした後口で、前菜を食べているうちに無くなってしまった。いよいよ本日の主役「スーパーシチリアーナ」の登場である。
少しふくらみの大きなグラスに注いで貰って、匂いを嗅いだ瞬間に「これはいける」と思った。あまり感じたことがないほど芳醇な香り、それでいてしつこさがない。色は見事なレンガ色、これこそが赤ワインの色だよね。一口含むと、香り同様芳醇だが清涼感のある特徴が際立つ。
プリモピアット(第一の皿)のパスタが運ばれてきた。2品選んでいたので、それをちゃんとシェアしてくれている。さっぱりとしたボンゴレスパゲッティと、こってりとしたトマトソースのリガトーニ。味の変化をつけながら、ほんの一口ずつ「Tancredi」をなめた。注ぎに来てくれたお兄さんが、シチリアの地元産ぶどうにカベルネを混ぜた製法を話してくれた。短い会話だが、ワインのうんちくというのもなかなか聞けないのでいいお店だと改めて思う。
セコンドピアット(第二の皿)がメインの肉料理。いずれも赤身の残ったグリルで、左から豚・子羊・牛(和牛)と説明してくれた。白いんげんの煮込み、ズッキーニ・ヤングコーンのグリルにジャガイモのフライが付け合わせ。
函館で食べたラム肉のことを思って、まず子羊から食べた。噂の臭みはなく、柔らかくで甘みがある。豚肉はロースだろうか、やや脂分が多いがそれも味わいのうち。牛はしっかりレアの赤身肉だった。どれが美味かったと聞かれても、ちょっと答えようがない。「主役はスーパーシチリアーナでした」と応えることにしよう。
しっかり最後の1滴まで「主役」を味わい、十分満足しました。このお店、すごい実力店だと思います。東京駅にも近く便利なので、また寄せてもらいましょう。ごちそうさまでした。