函館市電宝来町電停近く、まさに<あさり坂>の角にあるのがすき焼きの名店「阿佐利本店」。コロッケなどの総菜や、精肉なども扱っているお店だが、売り物は創業以来の人気を保っているすき焼き鍋。一度食べたいとは思っていたのだが、ランチに食べるのでは重すぎるし、ディナーはウチ呑みが好みなので入店できないでいた。

ところが最近「呑みの夫婦」もそんなに深酒をしなくなり、食べられる量も減ってきた。ちょうどいいので、今回はディナーで試してみたい。ディナーメニューは、宴会コースとお食事コース。宴会コースはお食事コースのお肉が1.5倍になり、お刺身が付く。量を鑑みて、お食事コースにした。2人で予約を入れると、17:30の小部屋しか空いていないという。それを予約してランチを控えめにし、2人でまだ明るいあさり坂を降りて行った。
創業は明治34年、建物は大火で焼けて一度建て替えたとは言うものの、やはり100年は経っているだろう。昭和初期にタイムスリップしたような気分で、焼いてもらう牛鍋が出来上がっていくさまを、ビールを吞みながら見ていた。この店の焼き方は、
・大きな牛脂で鍋に脂を引く
・まずしらたきを十分炒め、玉ねぎ、長ネギ、椎茸、焼き豆腐、三つ葉を並べる
・その上に肉を並べ、トリガラ出汁と割り下を加える
・肉の赤みが消えないうちが食べごろ
という次第。

一人ずつお肉を選べるというので、A5和牛サーロインとA5和牛赤身を選んだ。サーロインから焼き始め、赤身はしゃぶしゃぶくらいの熱の通し方でOK。ビールが空いてしまったので、家内は赤ワインのグラス、僕は日本酒を1合注文した。
肉の柔らかさや味はもちろんだが、(秘伝の)出汁と割り下で、しらたきが美味しく仕上がっていた。この焼き方は、一度実験してみようと思う。ご飯やきしめんも食べつくし、ゆずシャーベットまで食べてお腹いっぱい。時計を見ると1時間しかたっていない。
ようやく暮れなずんだあさり坂をゆっくり上り、老舗のすき焼きの味を反芻しながらコンドミニアムに戻りました。とても幸せな気分でしたね。