トランプ2.0政権の暴挙が止まらない。コロンビア大学のパレスチナ系学生が抗議活動に参加したとして拘束された件は、ユダヤ系の学生にも怒りの声が高まり、一時期トランプタワーのロビーを占拠する事態になった。何系かを問わず、比較的最近米国にやってきた人たちにとっては、全く安心できない状況である。
不法移民を強制退去させたり、グアンタナモに収容したりしているが、合法/不法の線引きもあいまいだ。そもそも政権側が法律を守っていないように思う。
トランプ政権が戦時法適用、判事の差し止め構わず数百人を逮捕・移送 - Bloomberg
この事件では、ベネズエラの犯罪組織の構成員が数百人規模でベネズエラに強制送還されたというもの。犯罪者なので仕方ないかとも見えるが、適用した法律が「敵性外国人法」である。

WWⅡで日本と戦うことになった時、日系人を強制収容するのに使われた法律で、
・宣戦布告された場合
・外国から侵略を受けた場合
に敵性外国人を拘束したり、国外追放したりできるというもの。常識的に考えればこの法律を適用できるケースには思えないし、現に連邦裁判所は差し止めを命じている。にも関わらず「俺様が法律だ」とばかり、やってしまったわけ。理屈としては、この犯罪組織がテロ集団だということにして、侵略をしてきたと言いたいようだ。米国の悪徳弁護士が使いそうな「歪曲した法律解釈」である。
確かに、この犯罪組織のやっていることは良くない。追放したことについては、市民は拍手喝采するかもしれない。「ドナルドは、やるべきことをやってくれた」と支持する人もいるだろう。しかし「目的のためには手段は選ばない」では、識者や外国からの信用を失うに違いない。
先週、戦時収容された日系人の権利回復に努めたとされる共和党の元上院議員アラン・シンプソン氏が93歳で亡くなりました(*1)。敵性外国人法の濫用をご覧になったら、どのように意見されたでしょうか。残念です。