Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

半径1kmの世界の利点

 70歳も近くなってくると、リタイヤして時間ができる人が多い。かくいう僕も、「COVID-19」禍のテレワークになって楽になり、今は1~2回/週しか東京には出かけない。だからだが、同窓会が増えた。昨年11月に呼ばれたのは、なんと小中学校の同窓会。僕は、尾張一宮の中心街から2kmほど北に行った町で育った。

 

 1年前にあった高校時代の同窓会では、100名以上集まっているのに、すぐに識別できたのは5人ほど(*1)。もっと長くあっていない人がいるのに、分かるだろうかと不安になりながら出かけて行った。

 

60年前は「ど真ん中」の商業ビルだった

 少し早めに行って、2年半前(*2)同様駅前商店街を歩いた。かつての繁華街もすっかり寂れ、知っている店もほとんどない。かろうじて古書店が開いていたので、1冊ミステリーを買った。ここのご主人も、20年以上前に転居した時と同じ人。

 

目抜き通りのアーケードにも人影なし

 同窓会は駅前の新しいビルで、洋食ランチ。40人以上集まっていて、多くの人が僕を覚えていてくれた。さすがに9年間一緒だった連中は違う。懐かしい友達にも会えて、楽しいひと時を過ごしたのだが、帰路少し考え込んでしまった。

 皆の話題が、学校のあった町から半径1kmにかぎられていた。駅前までは2kmあって、このビルも洋食もはじめてだという人が何人もいる。男はおおむね家業を継いでいるので、小学校時代からずっと半径1kmで生きてきたらしい。女は嫁に行く(うーん、古い言葉だ)のでやや行動半径が広がるが、半径2kmくらいの人生。

 

 顔の見えるコミュニティは居心地がいいものだ。しかし外から見ると、閉鎖的に見える。かつて、ワシントンDCから日本を見て居心地いい閉鎖空間と思い、東京から名古屋をみてそう思い、名古屋から(電車で10分の)尾張一宮を見てそう思い、尾張一宮駅前から育った町をみて、全く同じ思いをした。

 

 半径1~2kmの人生、僕はそれに耐えられただろうか?良し悪しではなく、そんな感慨に浸りながら新幹線に乗りました。

 

*1:50年ぶりの再会、お前誰? - Cyber NINJA、只今参上

*2:「手羽喰いにいこうぜ」のお店(前編) - Cyber NINJA、只今参上