新年早々悲劇の話はしたくないのだが、年末に起きたチェジュ航空の事故はあまりに不思議な点が多くいくつかの記事を読んでみた。昨年の正月にも羽田空港で日航機の衝突事故があり、アラスカ航空のフライトで上空5,000mでドアが吹き飛ぶ事件もあった。不思議と航空機事故は立て続けに起きるものだ。
昨年末はアゼルバイジャン航空の旅客機が、グロズヌイに着陸しようとしてロシアの防空部隊から攻撃されて損傷、カスピ海をわたったカザフスタンで墜落している。続いて起きたのがチェジュ航空機の事故で、務安国際空港に着陸直前バードストライクとも言われる事故に遭遇し、胴体着陸を余儀なくされた。
結果は悲惨なもので、乗員乗客181名の内助かったのが乗務員2名だけ。炎上する機体の中で、もしくは機外に投げ出されて179名が命を落とした。徐々に情報が伝わり、空港自体や空港の安全措置に問題があったことが見えてきた。
韓国機事故、原因調査本格化へ 滑走路の設計に問題か | ロイター
この記事にあるように、事故機は滑走路をオーバーランし、滑走路に対して防壁のようにそびえていたローカライザー(*1)の土台(土塁とコンクリ構造物)に、時速200kmほどで衝突して分解している。助かった2人は機内の最後尾にいて、衝突前に切り離されていたので命を取り留めた。
機長は胴体着陸前に、燃料を使い果たす措置をしていないようだ。写真を見る限り、滑走路に衝撃を和らげるなど胴体着陸を支援する薬剤を播いた気配はない。そもそも、障害物を滑走路延長上に設置するなど理解できない。
改めて地図を見ると、この空港は光州広域市中心部から南西に25kmほどの入り組んだ海岸線にある。ちょっと見、志摩半島のような島と浅瀬が入り組んでいるようなところ。南には歌謡曲で日本人に知られる島「珍島」があり、さらに南に「済州島」がある。空港の南は特に人家が集まっているわけでもなく、少し行けば海だ。むしろ海まで走らせてしまえば、脱出用シューターが救命ボートにもなるので、助かった人も多かったはず。
政治的に大揺れの韓国ですが、この件でも政府側に対する風当たりは強くなりそうです。
*1:着陸を誘導する装置、これ自体は大きな障害ではない