Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

銀行が危ない・・・

 欧米諸国がウクライナ侵攻中のロシアに対し、今できることは「制裁」くらいしかない。ウクライナへの直接派兵は危険だから、「ウクライナNATO加盟国ではない」という理由でできないとしている。そこでプーチン大統領とラブロフ外相の個人資産を凍結する「制裁」をしたが、いやがらせ程度の効果しかないように思う。凍結するくらいならロシア市民に対して、

 

「お宅の大統領はこんなに資産を隠していますよ~」

 

 と公表した方がプーチン大統領に与えるダメージは大きいのではなかろうか。一時期90%あった支持率が、年金改革などで市民の不満が高まり63%ほどに下がったのを、かの大統領は憂慮しているのだから。曲がりなりにも選挙があるのが、もうひとつの困った大国とは違うところだ。

 

 一番厳しい「制裁」と言われていたのが、国際銀行間金融通信協会(SWIFT)からロシアの銀行を締め出すこと。こうなるとロシアの銀行は事実上国際取引が出来なくなり、個人の送金から輸出入の決済までが止まってしまう。

 

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 この影響は計り知れず、バイデン大統領が「最強の制裁」という意味も分かる。かつての冷戦時代と違い、ロシアもグローバル経済の中にしっかり組み込まれていて、貿易が止まれば国内経済は甚大な被害を受けるだろう。年金支給年齢引き上げどころではない影響が、市民ひとりひとりに降りかかる。

 

 もちろん貿易には相手があることで、日本を含む各国の市民にも、ロシアほどではないだろうが被害が出る。エネルギーの多くをロシアに頼っているドイツなど欧州諸国はすぐ困るだろうし、ロシアからの小麦が入ってこないと秋にはパスタ等の品不足・値上げとなる。

 

 さらにSWIFTのドル建て決済が出来なくても、中国が人民元建ての決済で「制裁破り」をすれば、制裁効果は減殺されてしまう。一番僕が危惧するのはSWIFTを狙うサイバー攻撃。2016年2月には、SWIFTのコードが盗まれて「デジタル銀行強盗」が登場した。これは犯罪レベルだが、今回ロシアがSWIFTからはじき出されたら、国レベルの攻撃がSWIFTや各国の主要銀行に降りかかるのではないか。

 

 データ消去の新種ウイルス「HermeticWiper」がウクライナに仕掛けられたといいますが、これらが銀行に襲い掛かるリスクがあります。僕の預金データも消えてしまうかも・・・。