Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

本格ハイブリッド戦開始(後編)

 ロシア国内でも「反戦デモ」が起きているように、多くの国からロシア(=プーチン)に非難は集まるのだが、NATOも直接の派兵に踏み切れてはいない。もしそうしたら、核兵器を含む全面戦争(第三次世界大戦)を誘発しかねないからだ。

 

 だったらこちらもハイブリッド戦ということで、NATO側もサイバー攻撃をかけているだろうと思っていた。もちろん実態が公表されるわけはないが、面白いことに「アノニマス」がロシアを攻撃しているとの記事があった。最近名前を聞くことが少なくなったが、かつてはDDoS攻撃で世間を騒がせたハッカー集団である。

 

国際ハッカー集団「アノニマス」がロシアを攻撃? 紛争はサイバー空間でも 日本企業にも脅威:NATOに代わって報復か(1/2 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン

 

 サイバー空間での戦いは非対称戦、攻撃者が常に有利で、個人でも国(下記のケースでは北朝鮮)を相手取った闘いも可能だ。

 

サイバー攻撃の非対称性 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

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 サイバー空間での暗闘の実態は、当面どころか永久に「藪の中」になるかもしれないが、主要国の政府・軍にとっては極めて貴重な「戦史」になるだろう。その一方、リアル空間での戦闘は、なんとなく第二次世界大戦から大きな進歩なく進んでいるように思われる。つまり、

 

・緒戦で航空戦力を無力化して、制空権を握る。

・複数の進撃路から戦車と機動歩兵を突入させ、戦略拠点を奪取/包囲する。

・敵の地上戦力の補給を断ち、(戦力ではなく)戦意をくじく。

 

 というわけ。なぜ「複数の進撃路」かというと、近代の軍は膨大な物資(燃料・弾薬・食料等)を食いつぶすからだ。第二次世界大戦後期の西部戦線で「パットン対モントゴメリー」と言われたのは、仲が悪かったとかドイツ国境に向け競争したというより補給物資を奪い合ったことをあらわした言葉だ。

 

 ロシア軍が目的とする「ウクライナ軍の解体」を果たせるかどうかも、補給が続くかにかかっている。直接の軍事介入が出来ないとすれば、日米欧がリアル空間でとれる手段は「制裁として補給の大元を断つ」ことくらいだろう。

 

 リアル紛争の飛び火がどんな形で日本社会に降りかかるかは不明ですが、重要インフラのサイバー防御は絶対に欠かせませんよね。