Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

電気通信事業法改正、その後

 年末から揉めている「電気通信事業法改正」に関して、産業界の反対を受けて総務省はいくつかの修正を行って、今通常国会への提案作業中である。例えば物議を醸した「電気通信役務利用者情報」という言葉はなくなり、今回改正に関する「事業者」の定義もより細かく説明してくれるという。そんな会合があったので、参加してみた。
 
 
 法改正の主旨は大量のSNS利用者などのデータを保有する事業者に対しては、個人情報保護法の法を越えて、規制(社内ルール策定・取り扱い方針の公表・情報取り扱いの自己評価・統括責任者の責務)を課すというもの。この「事業者」の範囲については、携帯電話会社+SNS事業者ほどで30社に満たないとの説明だった。
 

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 同時に利用者情報も外部送信について、利用者自身の確認の機会(オプトアウト等)を定めるように多くの関係事業者に求めることが入っていて、これらが混同されて伝わったとのこと。またここでいう事業者には、自社のホームページ運営やオンライン販売をしている(オンライン利用は手段)企業は含まれないことも明示された。さらに具体的な進め方について、産業界の代表もいれた会議体で細部を詰めていくとの説明もあった。
 
 昨年の説明では、上記規制を幅広い事業者に求めるように聞こえたのと、幅広くなら個人情報保護法改正で行うべしとの意見に、個人情報保護委員会総務省の交渉が決裂したから(総務省管掌の)電気通信事業法改正に踏み切ったという誤った回答があったことから、「規制や確認機会の設定などをするべき企業がどこまで広がるのか」と紛糾していた。
 
 産業界から上記の内容について質問書が出ていて、それらに対する回答がされて議論になった。SNS事業者であるF社が規制について細部の質問をし、あと数社質問が出て時間は超過したが、基本的な誤解は解けたように思われる。本件を議論した総務省の会合が秘密会だったことやそもそも分かりにくい話であって、年末には一騒動あった。
 
 とりあえず収まった格好だが、具体的に自社にどのような影響があるのか、各社(いろんな事業をしている)においての詰めはこれから。議論の進行は適宜丁寧な説明を求めることを、説明してくれた人にはお願いしておきました。