Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

イントラネット革命

 社内限定のネットワーク「イントラネット」。外部と接続していない分だけ、内部の情報共有等には使い勝手がいいかもしれない。これの活用も、ひとつの革命を起こすことがある。社会構造、もとい会社構造を変えることができるのだ。

 
 僕が社会人になったころ、従業員ひとり1台のコンピュータなどというものは考えられなかった。メインフレームが中央に鎮座していて、従業員は空いている端末機を使ってデータベースにアクセスしていた。オフィスにはワープロがあり実験室にはミニコンもあったが、所詮オフライン。
 
 そのころの情報伝達のことを思うと、石器時代のように感じてしまう。本社で事業部門長会議や総務部門長会議があり、その内容が事業所内の部長会議で報告され、部長が持ち帰って部課長会で話し、課内会議で下々にお披露目されるわけだ。情報の伝達・共有には手間と労力がかかったが、当時の人たちはあまり気にしていなかった。
 
 この時代には役職が高位にあるほど情報に早く接し、詳しく知ることができる。これが情報格差の階層を生み、それがヒエラルキーの基になっていた。このような時代には、情報を意図的に隠すことによって権威を作り出し、地位を安堵するヤカラもいた。

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 「何故報告せずにこんなことをした。課長の君にはわからないこともあるのだ」と、部下を怒鳴りつけている部長もいた。こういう部からは、育ってくる部下も少ない。ますます彼は、楽に会社生活を送れるというわけ。上意下達システムさまさまである。
 
 それが、イントラネットの登場と従業員ひとり1台のPC導入で揺らぎ始めた。社長の意向、会社の戦略、決算事情など、従来ピラミッドを徐々に降りてきていた情報が、従業員に同時に配信されるようになった。最初のうちはコンテンツの整理に時間がかかったり内容もお粗末だったりしたものの、社内広報スキームが整備されると効果が揚がるようになった。情報伝達のためだけの会議は不要になったし、情報伝達のためだけの管理職も要らなくなった。あからさまに情報を曲げる、ふとどきな管理者もいなくなった。
 
 もちろん流れてくる情報をどう使うかは、個々人の勝手。しかし少なくとも、避けることの出来ない情報格差は減りました。これが今に続く「働き方改革」への流れを作ったのだな、と今テレワークをしながら振り返っています。