Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

テレワーク実践者の声

 先週、民間のテレワークに関する総務省の調査を紹介した。すると民間のテレワークを実践している企業のプレゼンを聞く機会があり、数字に表れないナマの声を聞けたので、これも紹介したい。

 

 その会合は、2社の実践企業が事例をプレゼンし、30社ほどの聴衆が意見を述べたり質問をするというもの。事例説明をしてくれたのは、IT企業と保険会社だった。いずれも立派な取り組みで、共通しているのは、

 

・ちゃんとした事業継続計画が以前(東日本大震災やMERS流行等)からあった。

・想定していたリスクは、地震等の自然災害、システムの大規模障害など。

・その中に「新型インフルエンザの蔓延」もあり、今回はこれを適用した。

・「COVID-19」流行に当たり、従業員の命・健康・安全を第一に考えた。

・4/7の緊急事態宣言を機に、一気にテレワーク化を加速し、現在も続けている。

 

 というものだった。よくテレワークはセキュリティが甘くなるので躊躇することがあるが、この2社さんは「従業員の安全」を錦の御旗にテレワークを積極活用したわけだ。もちろん、以前からテレワークの試行や準備を十分されていたことが前提にある。

 

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 そんな会社でも、2~3月にかけて「テレワーク推進」を掲げたが、半分以上の従業員は何らかの言い訳を付けて出社していたという。それを緊急事態宣言を機に、それまでテレワークを申請する方式だったのを、出社の方を申請制にしたら一気にオフィスから人がいなくなった。

 

 これに対して30社ほどのオーディエンスから意見や質問が出た。総じてこのような会合に参加する企業/個人だから、デジタル&セキュリティリテラシーは高い人たちで、各社テレワークりつは50%を越えているという。主だった意見としては、

 

・「COVID-19」騒ぎが収まっても、テレワークは続く。中央のオフィスは削減可能。

・代わりに小規模なサテライトをいくつか首都圏の中に設置した。

・手に触れる現物を減らそうとして「文書電子化」に取り組んだ。

・しかしどうしても紙でないとというものが残り、印刷のためだけに出社した。

・ヴェテラン従業員はいいが、採用したばかりの新人教育には苦労した。

 

 のような声だった。機器や通信環境などの整備だけではなく、紙(とハンコ)を減らす業務改善も必要だということです。中心部のオフィス空間は少し空いてきそうですが、果たして不動産価格は下がるのでしょうかね?