中国の人口は14億人と言われるが、沿海部など大都市の人口は4億人ほどである。大都市は(どの国でもそうだが)格差がひどく、ギグワーカーと呼ばれる2億人ほどの人たちは、法的保護や社会保障が不充分な労働環境下で、厳しい毎日を送っている。その実態を著した書物がベストセラーとなったという。
「稼げずに死ぬか、稼ぎすぎて死ぬか」中国の底辺労働者が綴ったベストセラーが暴く不条理、それを党が絶賛する怪(1/6) | JBpress (ジェイビープレス)
Hu(胡) Anyan氏のエッセイ「I Deliver Parcels in Beijin」で、著者の20年間にわたるギグワーカー人生を綴ったものだ。その日暮らしで稼ぎが悪ければ死んでしまうかもしれないが、それを恐れて働きすぎると体調を崩して死ぬかもしれない(*1)暮らしを、彼は続けてきたという。

ギグワーカーの人たちは、人ではなくインターネットに指示されて(例えば)宅配荷物を受け取り、指定された部屋に届ける。延々この作業を繰り返し、歩合を貰って生きているわけだ。ある意味米国より進んだネット社会である中国都市部では、IT大手のアルゴリズムに人生を左右される人たちが多くいる。
その姿を描いた本書は、まるで中国の「ヒルビリー・エレジー*2」かと思ったのだが、副大統領になったヴァンス氏と違い、著者の胡氏は底辺で生き続けている。底辺の人たちにこれまで手を差し伸べてこなかった政権への批判もあって、ベストセラーになったものと思われる。であれば、習政権はこれを「禁書」にしなかったのが理解できない。
上記の記事の最後に「この書は自由資本主義への警告として、必読書として国家が推奨している」とある。国家が都合のいい書を読むように「読書週間」を設けるなど読書を勧めている(*3)が、本書はその一環としてギグワーカー保護の動き(*4)などと併せた、一種のプロパガンダと言えるのかもしれませんね。
*1:医療保険も休業補償も全く足りていないから