Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

まだ香港は中国を覗く窓口

 1997年に返還されてからも、香港は閉鎖的な中国に掛けられた架け橋であり、内情を窺い知る窓口であった。英語が通じ、香港ドルは国際通貨で、欧米の常識が通用した。しかし返還時に約束された「一国二制度」は、50年続くはずだったがその半分も経ないうちに事実上反故にされた(*1)。

 

 議会はほぼ中国政府の意を汲んだ議員ばかりになり、中央からのガバナンスが強力に利くようになった。2020年には「国家安全維持法」が施行され、自由メディアは力を失った。市民の間に政府に対する不信/不満は高まっているだろうが、それを口に出すのは難しい。そんな中、先月に大規模修繕中の高層ビルが7棟も焼ける事件があった。行方不明者も含めると、犠牲者は200名ほどになる。

 

香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

ホノルルのチャイナタウン

 習政権の主任務は「腐敗撲滅」だが、皮肉なことに香港では腐敗が進行しているらしい。この記事によれば、修繕にあたり問題を指摘した市民の声を、行政は聞かなかった。腐敗があった上に、事件が起きた後は情報統制に政府が走ったという。

 政府は統制の一環として「火消し」にも躍起で、鎮魂のための献花等がたちまち撤去されてしまった。献花と共に、政府批判の張り紙などがあったからと伝えられる。これらの報道を見て改めて思ったのは、

 

「メディアが自由を失ったとはいえ、まだ香港の事件を僕らは目にできるな」

 

 ということ。このような事件が中国国内で起き、市民の(政府にとって好ましくない)行動があったら、それらは報道されただろうか?僕らのところまで届いただろうか?まだ香港には「一国二制度」時代の人が生きていて、無意識にか正しい報道を擁護しているのではないだろうか?

 

 逆に言えば、中国国内ではこのような事件も(腐敗と共に)あるはずで、それらは決して僕らには知りえない。そこまで考えて、まだ香港は中国を覗き見る窓口ではあるし、中国本土は本当に深い闇の中にあるのだと感じました。とても本土には、行く気になれませんね。

 

*1:21世紀最大の市民運動 - 新城彰の本棚