中国当局が香港民主化勢力に弾圧を加え、これに反発した旧宗主国英連邦や米国が香港に認めていた優遇措置を撤回している。天安門事件以後欧米諸国が考えていた「香港を窓口にして中国の近代化に協力し、国際社会への参画を促す」という試みは、ここに潰えたということだろう。
中国は今やGDP第二位の国であり、先端技術でも米国と覇を争うようになっただけでなく、国際社会に参画どころか大きな影響力を持ちそれを隠そうともしなくなった。国連はじめWxO諸機関への影響力は、トランプ先生に「WHOは中国に支配されている」と叫ばせるほどだ。
中東からアフリカ諸国、東欧などその触手は「一帯一路」の名のもとに着実に伸びている。これに対抗すべく米国は「FOIP:Free Open Indian-Pacific Ocean」という構想を打ち出して、日本もその中に組み込まれている。
「国家安全維持法」での共産党勢力による香港制圧が始まり、直接有効な対抗手段を打てない状況ゆえ、最前線は台湾海峡まで後退した感がある。FOIP各国にとって幸いなことに、台湾の現政権は「親大陸」ではない。台湾の民主化に努め先日亡くなった、李登輝元総統の流れを汲む人たちだ。
台湾は中国の一部というのが大陸側の主張、しかし現政権は「一国二制度」での併合の誘いをはねつけた。その制度の脆さは、今回の香港騒動で世界中の人が知った。では今、その最前線ではどんなことが起きているのだろうか。台湾海峡を中国空母が通過したり、上空に爆撃機などが飛来することはもちろんある。ヒューミントによる諜報活動もあったろう。加えてサイバー空間経由の工作もあると思っていたら、それを裏付ける報道があった。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/08/22018.php
大陸系の2集団が、台湾政府機関などにサイバー攻撃を続けてきたという内容。もちろんあっただろうが、それを今回台湾側が公表したことに意味がある。2年前、台湾を代表する半導体企業TSMCが3日間操業停止に追い込まれたのは、恐らく大陸からのサイバー攻撃が原因。それを受けて昨年開催されたセキュリティイベントの写真がこれ。
中国に遠慮していた日本政府も趣を変え、台湾政府との交流を始めるようです。ここが破れると、最前線は沖縄ということになるでしょうからね。