東京オリンピックを狙った大規模サイバー攻撃は、無かったか未然に防げたようだ。まだパラリンピックが残っていて警戒を緩めるわけにはいかないが、ドーピング問題で国としての参加が出来なかったロシアからの「高度な攻撃」はなかったと見ていい。
ただロシアの脅威は欧州ではエスカレートしているらしい。この記事は在ベルリンの英国大使館職員がロシアのスパイだったということから、ロシアの諜報機関がここ数年欧州でやってきた(と思われる)ことが列挙されている。
欧州でロシアの工作活動が冷戦期並みにエスカレート |ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
記事には3つの諜報組織が紹介されている。
SVR:対外諜報庁
特にGRUは、2016年の米国大統領選挙に介入、民主党本部などをハッキングしてトランプ勝利に貢献したとも伝えられる。
先日安全保障の専門家に聞いたところでは、GRUを始めとする諜報機関はサイバー空間とリアル空間のハイブリッド戦を常用する。
目標とする機関に隣接する駐車場に盗聴用の仕掛けをしてWi-Fi電波を盗み取ったり、もっと直接的に機関の要員(ハイレベルならいいが末端要員でも構わない)を買収や脅迫などでスパイに仕立てたりもする。今回の在ベルリン英国大使館員のケースがそれだ。
例えばハッキングして得た情報を、HUMINT情報で裏付けするようなこと(もちろん逆も)行っているはず。情報(ナマのDataや整理をしたInformation)をウラを取ってタイムリーなIntelligenceにするのが諜報機関のタスクである。
気になるのは冒頭の記事のように、GRUはじめロシアの機関の活動が活発になっていること。ウクライナやベラルーシ、あるいはトルコなど巻き込んだ何かが起きる予兆かもしれない。一方で、プーチン先生が極東は放置しているわけでもあるまい。欧州のように派手ではないかもしれないが、何らかの工作は進めているはず。
人種の問題もあってHUMINTは欧州よりやりにくいかもしれませんが、サイバー攻撃ならそんな障害もありません。オリ/パラが終わっても、警戒を緩めるわけにはいきませんね。