バイデン大統領が「プーチンは武力侵攻を決断した」と述べた時は、事態をエスカレートさせるだけで無益だと思ったのだが、その後の展開を見ていると「米国のインテリジェンス能力の誇示」だったようだ。つまり武力侵攻を指示したという情報を米国は握っているぞ、そんな深いところにまで諜報網が伸びているぞと示し「まるっとお見通しだからあきらめろ」と警告したわけ。
それでも侵攻は起こってしまい、世界は固唾を呑んで見守っている。
◆ロシア軍チェルノブイリを制圧
あんなにベラルーシに近いとは知らなかった。稼動していない原発だが、核兵器に転用可能な使用済み核廃棄物があったので、それを確保したかったらしい。
◆機動部隊キエフを包囲
演習名目でベラルーシに駐留していた機甲師団だろう。素早い「電撃戦」だが、市街戦になれば種々の問題があるので、今は突入はしないと思いたい。
◇ウクライナ軍の抵抗でロシアの進撃が鈍化
「兵役経験のあるものは銃をとれ」とゼレンスキー大統領が叫んだ。四半世紀ぶりの「大祖国戦争」とでも言いたいようだ。
ウクライナ軍の内情はわからないが、親ロシアの心情をもつ高級将校がいてもおかしくない。「隠れロシア派」へのメッセージと見るべきだろう。
などの情報が乱れ飛んでいる。
ロシア軍は以前ジョージア(グルジア)に侵攻した時も、サイバー攻撃を併用していた。今回もデータ消去の新種ウイルス「HermeticWiper」をウクライナ政府や金融機関に仕掛けて、機能をマヒさせるなどの攻撃を行った。規模からいっても、本格的なハイブリッド戦が始まったと思われる。
このウイルス、データを完全に消去し、リカバリー手段も破壊するという徹底したもの。ランサムウェアと異なり、仕掛けた方もデータを復旧させることはできない。何度かご紹介したように「データは何度イニシャライズしても消せないし、どこかにコピーは残っている」はずなのに、本当に消し去ることができるとは画期的な機能だ。
ロシア軍(もしくは政府機関)の攻撃対象は、ウクライナに限らない。すでに近隣のバルト三国には攻撃があったとの情報もある。「制裁」を発動した日米欧諸国に対しても、何らかの報復攻撃は充分あり得る。
<続く>