Web上のベタ記事を眺めていると、時々はっとさせられることがある。先週見つけたこの記事は、とても興味深いものだった。
ロシアの戦争敗北は受け入れられず、中国外相がEUに伝達 当局者 - CNN.co.jp
中国とEUの会合で、中国王毅外相がEUカラス上級代表に語ったとされるこの言葉、とても深い意味を持っているように感じた。この会議に至る状況は下記である。
・米国がウクライナ戦争から距離を置き始めた
・ロシアの経済も苦境にあり、軍事費削減を迫られている
・しかし経済の立て直しに、中国との関係改善を望んでいる
・中国も国内は不況だし、戦争に巻き込まれたくはない
・一方中国にはウクライナとの友好条約もあり、核防衛することになっている(*1)
問題は報道されないインテリジェンス含め、中東や東欧の紛争の行方を中国やEUがどう見ているかである。
王毅外相の発言を、いくつかの考え方で読み解いてみよう。
1)素直な考え方では、ロシアがいないと米国の圧力が厳しくなると危惧している
2)ロシアの経済崩壊が近いと見て、EUと共に仲介に乗り出す可能性を示唆した
3)EUとの経済協力はするが、軍事面でロシアを追い詰める手助けはしないと宣言
4)全くの反語で、ロシアが崩壊したらウラジオストック等に進駐するつもり
なんとなくだが、3)あたりが一番合っているような気がする。中国の発言は時にストレートだが、それにしても1)は単純すぎる。2)は仲介はしてもいいけれど、健在ならプーチンが応じるはずがない。4)の機会は窺っているだろうが、そんなことを口に出す必要はない。
EUの側の意思としても、外相に対して(経済ではなく)安全保障担当上級代表を会談させたのがポイント。経済協力目的だけの会合ではない意図を感じる。
「トランプがKing」になって、世界が「Gゼロ」になりました。果ては「全世界対米国」のような対立になるかもしれません。その地殻変動が、こんなところに垣間見えるようです。