ウクライナ・ロシア紛争が、軍事から政治の分野に焦点を移し始めた。実態は両国とも疲弊して、そろそろ限界が近いと思われる。そこに、多少立ち居振る舞いに問題はあるにせよ、世界最強の「止め男」トランプ大統領が乗り出し、この機を逃すと泥沼がもう1年は続くことになる。
各国の思惑を(勝手に)想像してみよう。
・ロシア メンツが立つなら停戦は歓迎、でも領土返還には応じられない
・ウクライナ 少しでも領土を奪還し、今後の安全保障を確実にしたい
・東欧諸国とドイツ ロシアがこれ以上の暴挙に出ないように、タガをはめたい
・フランス ロシアに最も近い核大国として、停戦を主導し存在感を示したい
・米国 ロシアと早期に宥和し、できれば共闘して中国にあたりたい(*1)
・中国 ロシアとは連携しつつ、深入りは避けたい。米国の背後で和平に協力

ではユーラシア大陸の両端の国はどうか?英国スターマー首相は、早くも停戦後の平和維持部隊として陸軍の派遣に言及した(*2)。この発言に対し、ドイツのショルツ首相は「時機早尚」と不快感をあらわにした。
仮に停戦が成り、朝鮮戦争と同様DMZがおかれた場合、米国は派兵しないと言っているが平和維持部隊をどの国が出すかは争点になる。やや焦ったスターマー首相が、フライングしたのも理解できる。通常は欧州大陸国が出すのだろうが、一枚かんでおかないと英国のプレゼンスが下がる。加えて中国が意欲を見せるかもしれない。中国軍がいれば、プーチン先生もあからさまな悪戯はできないだろう。
さらに僕の提案だが、日本の自衛隊もこれに加わってはどうか?この紛争を欧州に矮小化して考えず、地球規模の危機と捉えた・・・などと言い訳は立つ。本音としては、極東にもロシアが配慮しないといけないようにするための圧力。万一DMZの日本「軍」と戦闘になれば、北方領土奪還に動きかねませんよという脅しである。
専守防衛のスタンスは護りながら、増大した防衛費を対外圧力として使ういい機会かと思うのですが。