Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

最低賃金3%UPに決まったわけ

 今月厚生労働省の諮問機関「最低労働賃金審議会」が、2021年度の最低賃金を全国で28円値上げすべしとの答申を出した。全国平均でいうと930円ほどになり、上げ幅は昨年の1円(0.1%)に比べて大きな飛躍(3%UP)となる。この審議会、2日に渡ってもめ続けた結果がこれで、

 

・労働者側 困窮世帯を救うために大幅な賃上げを

・事業者側 「COVID-19」禍で事業が苦しく、現状維持を

 

 と主張して相譲らなかったものだ。生活実態からすると最低賃金は1,500円は必要という経済学者の試算もあり、それには遠く及ばないがUPで決着したというわけ。

 

最低賃金3%引き上げ、全国平均930円に 審議会が決定: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 これに先立ち市民生活重視の韓国文政権は、最低賃金を上げ続け今年も5%ほどのUPを決めている。ただその結果事業者側が雇用を絞るようになり、市民生活が全体として豊かになったという報道はない。

 

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 今月別ブログで日本という国が安くなったことを示す書を紹介しているし、日経も「安いニッポン」という特集を組んでいるように、日本の諸物価(と人間)が発展途上国並みに安くなったことは確かだ。

 

「安い国」で暮らすということ - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 写真は先日朝オフィス近くの「吉野家」で食べた「ハムエッグ納豆朝食」(404円)である。ちゃんとハムエッグは保温してあるし、サラダにはマヨネーズも付いている。これだけ手間のかかるものが$4足らずというのは、米国東海岸では驚かれるだろう。

 

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 米国ではトランプ~バイデン政権が、個人向けに小切手をバラ撒いたこともあって職を離れた人が職場に戻ってきていない。経済回復のネックは人手不足で、時給を挙げても容易に解消できていない。契約上で時給が上がる米国、意図的に上げた韓国、いずれも苦悩はある。日本はやや韓国に近い路を歩こうとしているのかもしれない。

 

 上記審議会が、1円を28円に上げた事情は何か?普通なら妥結しなかったはずで、実際昨年は妥結しなくて1円だった。やはり何かの意思、ひょっとすると「#自公以外に投票」に脅された与党の意思で、まず票数の多い労働者の怒りを収めるために3%UPとし選挙を済ませる。その後、苦しくなった事業者がリストラして従業員をロボットに換えても、それは構わない。そんな思惑が感じられるのですけど。