昨年末与野党5党が合意したので、給付付き税額控除の制度設計を含む税と社会保障一体改革の「国民会議」が設置されることになった。1年間で当該制度の設計を行うという(*1)。正直、非常に難しい制度設計になると感じているのは、所得把握をどこまでできるかや不正行為の防止(含む罰則)、源泉分離課税の扱いなど問題が山積しているからだ(*2)。
特に金融所得を合算できるかどうかは「1億円の壁対策」といいながら、中途半端なことしか論じられていないし、なによりこれから格差を爆増させかねない暗号資産所得を、源泉分離(税率20%)にしたばかり。
しかし有識者は市民の困窮を救うために、今できる範囲で始めればいいという。基礎年金だけしか貰っていないが、莫大な暗号資産からの収益がある人にも十分な給付が出来てしまうのに・・・である。

ひとまずその「不公平」は措いておいて、制度設計を進めるというなら致し方はない。それなら、議論の出発点はこれまでの控除や各種支援の見直しというところから始めてほしい。収入がゼロの人でも生活に必要な額の給付が得られるというのだから、基礎年金や生活保護は必要ないとの意見があって当然である。
参考になったのは、学習院大学の鈴木教授(経済学)著「社会保障と財政の危機*3」である。著者はBI(Basic Income)の試算をしていて、
・生活保護の生活扶助と住宅扶助、基礎年金、失業給付を廃止
・消費税の軽減税率を廃止
によって100兆円の政府支出を減らすことができると主張している。その分を「給付」に回すことで、当該制度が成り立つわけだ。この考え方なら、税の本分「公平・簡素・透明」が実現できるのではないでしょうか。「国民会議」の議論のスタートは(総選挙の結果がどうあれ)是非ここから始めてほしいと思います。