1ヵ月ほど前、参議院議員選挙投票日が近い暑い日。僕はJR秋葉原駅から、都営地下鉄岩本町駅に向かっていた。外国人観光客も多く歩いている中、ひとりの背の高い青年が割合大きな声で独り言を言っていた。つぶやくでもなく、叫ぶでもなく・・・。
「選挙なんか行かない。行っても何も変わらない。日本はどうせ滅びるんだ。だから選挙なんか行かない」
と何度も繰り返している。少々不気味だったので、速足で追い抜きそのまま彼のことは忘れた。1ヵ月たって、そんなことを思い出したのは現在の日本政治の停滞から。
・衆参両院で少数与党になり、石破おろしの声が上がっている
・声を上げているのが裏金議員の印象があって、有権者は冷ややか
・いつまでもつかわからないゆえ、すべての野党が「石破政権とは組まない」姿勢
・自民党内の理由で、おろしから総裁選へと運べば、最低1ヵ月は政治空白となる

減税を希求する市民としては、なんとか秋の臨時国会までには「ガソリン暫定税率廃止」くらいはやってほしい。しかし1~2ヵ月政治空白をされたら、とても間に合わない。もちろん、与党が提案した現金給付もできるわけがない。
与党は少数となり、野党もバラバラな中で、比較第二党の責任を負って、立憲民主党野田代表が踏み込んだ提案をした。
1)企業団体献金問題は、立憲の「廃止案」でなく他の野党の「政党支部規制」から議論を始めよう
2)減税は、現金給付・期限付き消費減税・給付付き税額控除をセットで議論しよう
この2点を、石破~野田討議で方向性を出そうというのだ。1)は立憲左派は面白くないだろうが、廃止にこだわっては1歩も進まないとの判断。2)については選挙中に石破総理から「給付に限れば手を組めますよね」と誘いがあったことに乗る形。いずれも立憲民主党内がまとまるかは微妙だ。
この提案に石破総理(この場合は総裁?)は「そのようにしましょう」と肯定した。これも自民党内からは猛反発が予想される。特に1)については、政党支部名義で自分の財布を持っている議員ばかりなので、活動資金を奪われかねない。
かの青年が言っていたように(滅ぶかどうかは別にして)「何も変わらない」事態を、2人の仲の良い政治家が打破できるか?非常に興味深い政局になってきました。