ガザ地区の悲惨な状況や、ヨルダン川西岸地区の侵略的入植によって、パレスチナ人を迫害しているイスラエル。かなり多くの国に非難されながらも「これは生存権をかけた戦い」としてひるむ様子はない。
ガザ南部ではハマスの部隊を全滅させたし、シリア領内にヘリボーン作戦を行いヒズボラのミサイル関連施設を破壊した(*1)という。このところ小競り合いが続いているゴラン高原周辺で、ヒズボラとイスラエルの戦闘自身は珍しくないが、本格的な越境攻撃を行ない、紛争レベルは1~2段階上ったかもしれない。
目的は占領ではなく、脅威となっているミサイルを除去しようというもの。時々、司令官クラスを暗殺するための越境と同様、あらかじめ相手の攻撃能力を削ぐ「能動的防御」とイスラエル側は主張するだろう。

日本を巡る安全保障環境が悪化していて、数年前から「敵基地攻撃能力」を自衛隊が持つべきか否かの議論があった。結論から言うと、その能力はあった方がいい。敵の司令官やミサイル施設という脅威を事前に除去できれば、確実に被害は減らせるからだ。ただ、そこには、敵基地攻撃能力を持てば、(一部メディアや野党が信用していない)自衛隊が暴走して、先制攻撃をしてしまうのではないかというリスクがある。
そこで政府側は、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換え、先制攻撃はしないとの印象を与えようとした。ありていに言えば、単なるレトリック。本質は大きく変わってはいない。どの時点で反撃(能動的防御と言ってもいい)するかで、あまり差異は無くなってしまうからだ。
・ミサイルが着弾して日本人に犠牲者が出た
・ミサイルが確実に日本に着弾するコースで飛んでくる
・ミサイルが敵基地から発射された
・敵のミサイル基地で発射のボタンが押された
・敵基地でミサイル発射の兆候が見られる
・敵指揮官がミサイル発射を命令した
さて、どの段階で反撃は可能なのでしょう?この命題は、サイバー空間での戦いになれば、より分かりにくくなります。Active Cyber Defense の分野では、いつ能動的防御を発動できるのでしょうか?