Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

紅海というチョークポイント

 イスラエルのガザ侵攻は、中東全体を不安定化している。せっかくイスラエルサウジアラビアの宥和が成ろうとしていたのに、ハマスの奇襲攻撃とネタニヤフ政権の強硬な反撃が、中東宥和をぶち壊した。

 

 北ではレバノン武装勢力ヒズボラ、南ではイエメンの反政府勢力フーシ派が、ミサイルやロケット弾を撃つなどの蠢動をしている。前者については、強力な軍事力を持つとはいえ、米軍が2個空母機動部隊を送って抑え込んでいる。気になるのは後者で、イスラエルにミサイル攻撃をするだけでなく、紅海の船舶に対して無人機など使った攻撃を行っている。

 

紅海で活動中の米軍、イエメンからの無人機14機を撃墜…フーシが商船への攻撃繰り返す : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

 

    

 

 紅海はアフリカ大陸とアラビア半島に挟まれた狭い湾で、北でスエズ運河経由地中海に、南でバル・エル・マンデブ海峡を経てアデン湾からインド洋に繋がっている。欧州とアジアを結ぶ重要な海路で、ここも一種のチョークポイントである。

 

 これまでのところは、米海軍のイージス艦無人機等を撃墜しているようだが、全ての船舶を守り切れる保証はない。近海のアデン湾では、海上自衛隊護衛艦「あけぼの」がソマリア沖の海賊対策で任務に就いているが、艦齢20年を越えた艦(*1)でイージス能力もない。ミサイルで狙われた場合は、非常に危険である。

 

 すでにいくつもの海運大手が紅海での運行を停止したと言われ、事態が長引けば(例えば)ロンドン発シンガポール行きの船舶は、地中海~スエズ運河経由ではなく、喜望峰回りをする羽目になる。

 

 スエズ運河は役に立たなくなりエジプト政府も困るだろうし、インドなどにも迷惑の掛かる行為である。有志国で「航行の自由作戦」部隊を結成するとのことだが、多国籍海軍でフーシ派拠点を黙らせるための攻撃を行って欲しいと思う。もちろん、海上自衛隊の「いずも」など新鋭艦隊も参加して。例えばインド海軍にとっては、よい経験になると思うのですが・・・。

 

*1:就役2002年のむらさめ型、基準排水量4,550トン、兵装として76mm砲・CIWS・対艦ミサイル・SUM・短SAM・ヘリなど装備