旧統一教会問題への対応や大臣の辞任ドミノ、聞くだけで実行力がないなどの評価で、追い詰められたとも言われる岸田政権。しかし、やることはやっていて、
・防衛費増への道筋と、防衛力強化ポイントの議論
・GXに必要だとの原発稼働や新増設への転換
などを僕は評価している。野党や一部メディアからは反発の声もあるが、特に最後の点はエネルギー政策の大きな転換と叩かれている。「福島第一の事故を忘れたのか」という声だ。
原発運転「60年超」可能に・次世代原発は廃炉建て替え時に活用…経産省、有識者会議に原案提示 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
先月の「朝までナマTV」で田原氏が言っていたが、
・福島第一の1号機はGEのものをそのまま持ってきた
・米国の自然災害で怖いのは竜巻、ゆえに非常発電機を地下に置く設計
・しかし日本では竜巻より津波が怖い
・日本の事情が分かる設計なら、非常発電機は高台に置き、被災は免れていた
というのは事実。同じことを、事故当時の総理だった菅議員からも聞いた。日本で原子力技術者の育成が間に合わなかったゆえの事故とも言えるだろう。
僕の学生時代には原子力工学科は人気の学科、優秀な人が育っていた。しかし一時期のブームが去ると、彼らは就職先に悩むことになる。僕と同年代の人たちは原子力の仕事に見切りをつけ、大勢デジタルやコンサル業界に入ってきた。すでに実業に就いていた僕らより少し上の世代、例えば大前研一氏らも転職した人が多い。
その業界に「先」がないと、人材も集まらない。そういう意味で、岸田政権の「転換」は原子力技術者に曙光を見せることになった。昨年亡くなった経団連の中西会長は、原子力技術者の未来を憂いて「廃炉にするのだって技術者はいるのだ」と仰っていました。日本でも優秀な人材がこの業界に残るように、僕も祈っています。