先ごろ亡くなった財界のある重鎮は、数年前から「デジタル政策とエネルギー政策、政治家の覚悟が問われる課題だ」と仰っていた。エネルギー政策の方は僕の専門外なので、もっぱら聞くだけだったが、
・政治的に緊張関係にあるロシアとドイツも、石油パイプラインで結ぶ計画
・北アフリカで太陽光/熱発電し、海底ケーブルでフランス・イタリアに送電する計画
など各国がエネルギーの安定的な調達に向けて努力している中、日本では、
・石炭火力はGreenの関係で縮小
・再生可能エネルギーにも負の部分があって拡大にも限界
・福島第一の事故以来、原子力発電は封じられたまま
だと危機感を示しておられた。
今回の自民党総裁選に立候補した河野候補は、超党派の「原発ゼロ議連」の会長。総裁(総理)になったらすぐ原発全廃・・・との公約はさすがにできず、なるべく早く廃止するとの政策に転じている。
河野氏「核燃サイクルは手じまいすべきだ」「決断は一日も早い方がいい」 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
この記事にある「これまで協力してくれた自治体に迷惑をかけることなく」という発言は、発電所を建設した各自治体だけのことではない。
あるジャーナリストに聞いたのだが、福島第一の事故の直後当時の民主党政権は、
・2030年代に原発ゼロ
・使用済み核燃料の再処理は停止
・青森の大間原発も認めない
と閣議決定しようとして果たせなかったとのこと。内政的には、そうなったら六ヶ所村の中間貯蔵施設の「核のゴミ」はどうなるという問題。青森県はゴミを「最低でも県外」に持って行ってくれと言ったらしい。外交的には、米国が「日米原子力協定」を挙げて反対した可能性があると、彼は言う。
その時慌てて青森県との調整を担当した枝野経済産業相は、現在立憲民主党の党首。仮に政権交代が起きれば、総理として4党合意した「原発のない脱炭素社会」を追求することになる。10年前と違って、秘策でもお持ちなのだろうか?もちろんより総理の椅子に近い河野候補にも、これらの問題に正面から取り組む覚悟が求められる。
エネルギー自給率がOECD諸国の中でも絶望的に低い日本、直接的に市民の命に係わる問題ゆえ、誰が総理の椅子に座ろうが逃げないでいただきたいと思います。