Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ロシアでの事業停止、その理由

 日に日に強まるロシアへの経済制裁で、ルーブルは先週1円を割った(1ルーブル=0.84円)。だから、昨日紹介した<Uniconf>のビスケットなどは安いのだろう。家内によると「チョコレート、美味しかった(&安かった)のに売り切れてた!」という次第。先週はロシアの格付けも下落し続け、ムーディーズは「Ca」という下から2番目のところまで下げてしまった。「非常に投機的」との評価で、デフォルトが現実味を帯びてきている。

 

 ロシア内での事業を停止、ロシアへの輸出を停止する企業が続々出てきている。面白いのは、「停止」を発表する時の理由の付け方。

 

Google 人道的災害と非難し、ウクライナへのサイバー攻撃に対処しているとした

 

Microsoft 不当・不法・いわれなき侵略と非難、同じくサイバー攻撃に対処

 

Apple 侵攻を深く憂慮し、苦しむ人と共にあると宣言

 

◆ディズニー いわれなき侵攻、悲劇的な人道危機を考慮したと発表

 

◆VISA いわれなき侵攻、受け入れがたい事態と理由を説明

 

◆ペイパル 暴力的な軍事侵攻を非難

 

 要するに侵略行為を続ける国でビジネスすることなどできない、人道危機をもたらした責任をとれということらしい。

 

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 しかし、ちょっとニュアンスが異なる企業もある。

 

◇クレジット大手 適切な時期が来て、法的に許されるなら事業を再開する

 

半導体大手 地政学的情勢により出荷をストップ

 

◇自動車大手 優先しているのは従業員、販売スタッフ、仕入れ先の皆様の安全安心

 

 危機管理が専門のある識者によると、先に挙げた企業群はロシアの暴挙を戒めるため、自らの事業を犠牲にしても「鉄槌」を下すスタンスだという。しかし後者の企業群は、SWIFTからロシアの銀行が切り離されるなどの経済制裁で、売上金などが回収できない可能性があるのでいったん事業を止めるとのニュアンスが感じられる。

 

 国際的な視点からすると、日本企業は事業停止判断も相対的に遅く、かつ理由は「事業がまずくなりそうだから」に見えるらしい。広報の仕方にも問題があるかもしれないが、日本企業は「経済」しか見えておらず、相変わらずの「Economic Animal」だということ。

 

 そんな産業界の国で「経済安全保障」を考えた時、国際的に納得してもらえる議論になるのでしょうか?ちょっと心配・・・。