Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

NATO頼むに足らずや?

 まもなくウクライナ・ロシア開戦から1ヵ月、ロシア軍は電撃戦に失敗して苦戦を続けている。将官の戦死はすでに6名を数え、スペツナズの名で知られるジェルジンスキー師団の精鋭が7名、指揮官ともども戦死したとも伝えられる。じりじり追い詰められているとはいえ、ウクライナ側の戦意は高く頑強に抵抗を続けている。

 

 ポーランド国境に近いウクライナ側の軍事拠点を、ロシア軍が「極超音速兵器」で攻撃したとの報道もある。効果のほどは不明で「新兵器もありますよ~」程度のプロパンガンダにも見える。精密誘導兵器だろうからいいのかもしれないが、万一ポーランド側に着弾したりしたら「第三次世界大戦」になってしまうかもしれない。ポーランドNATO加盟国だし・・・。

 

そのNATO北大西洋条約機構)は、旧ソ連と東欧諸国のワルシャワ条約機構と対峙していた。ソ連崩壊後は敵側だった東欧諸国も加盟し、ある意味役目を終えている。しかしロシアから見れば「NATOが迫って来る」事態になり、今回の侵攻の原因にもなった。

 

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 地図上ではそうなのだが、NATOは予算削減の対象に(恐らくトランプ政権から)なっている。僕も参加したことのあるサイバー関連のイベントが、NATOの資金が切れてスポンサー探しに奔走していた。今回のロシア軍の侵攻に対しても、現時点ではNATOの出番はない。いろいろな意味で、存在意義を問われることになりそうだ。

 

 一方でロシアはもちろん、欧州諸国の周辺には地政学的リスクが散見される。これの対処をどうしようかと考えて、EUが即応部隊を作るという記事があった。

 

EU、5000人の即応部隊創設 30年までの安保戦略: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 大国同士がにらみ合っている米ソ冷戦のような時代は、傘下の小国はやりたいことがあっても自重している。しかしそのタガが外れると、小規模紛争は起きやすい。それゆえ、この30年間地域紛争が絶えず、米軍は世界中に派遣された。

 

 EUはあくまで経済統合が中心、軍事力はNATOに任せていたのだが、この決定はEUの形を変えるものになる。うまくいけば、米国のように連邦国家として統一軍を持ってガバナンスする形になれるが、下手をすると内紛から分裂に向かうことになりかねない。

 

 ロシアの侵攻は、いろいろな意味で国際情勢を一変させました。では、日本は・・・。