Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ユニバーサルサービス終焉へ

 一世帯あたり2枚の布マスク配布、予算は422億円と聞いて少し驚いた。やっぱり「緊急経済対策」は膨らませ感があるし、どうせ6,000万弱の全世帯に郵送するのなら10万円の商品券でも同封してくれれば、「30万円受給資格は?手続きどうすれば?いつ貰えるの?」などと大騒ぎにならないで済むのに・・・。

 

 評判の良くないこの政策、僕は総理に入れ知恵したのは旧郵政省系の官僚か議員ではないかと疑っている。日本郵政の不祥事は、もともと無理な営業ノルマにあるが、もっと根源を言うと民間企業としての経営構造ができていないことに起因する。元総務大臣の増田氏がTOPに就任し改革を進めようとしているが、かんぽは営業停止中、郵貯にプラス要素は望めず、結局当面は郵便事業の収益増しか手段がない。それを忖度した誰かの「入れ知恵」と思っているわけだ。

 

 国鉄が分割民営化されローカル線を廃止、電電公社も民営化して国際ビジネスにも進出、電力業界も自由化の波が来ているし、上下水道に民間参入も増えてきた。そんな中で民営化されたとはいえ全株式を国が持つ日本郵政は、最後に残ったユニバーサルサービスの代表的なものだ。

 

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 明治期に全国に郵便ネットワークを張り巡らせるため、地方の有力者を郵便局長に任じて「世襲制の公務員」とした。このやり方はスマートなもので、日本が近代国家に生まれ変わる重要な要因となった。僕が子供の頃は郵便局長と言えばその土地の名士、イベントの際には警察署長・小学校長などと並んでヒナ壇で挨拶をする「偉い人」と思っていた。

 

 しかし優遇されすぎたせいか、地方の郵便局には民間にはない「たるみ」が見られる。20年位前の話だが、1郵便局あたり年間数百万円の使途不明金があると聞いたことがある。労働組合の「全逓」も、最強の圧力団体だった。郵政というのは、ガバナンスが効くとは思えない組織の代表だったと思う。

 

 今般いよいよ全従業員のうちの5%、約一万人の整理に向けて動き出したとの報道があった。場合によってはどこかの郵便局を廃止する・・・などということもありうるだろう。ユニバーサルサービスは難しくなるわけだ。

 

https://biz-journal.jp/2020/04/post_150967.html

 

 もう「ポツンと一軒家」は維持できない、「地域トリアージ」の時代が来ると思っていましたがこれがその号砲になるかもしれません。