Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

これは「処分」ではなく「人事」

 先週、裏金問題に関する自民党内の「処分」が発表された。事前にメディアが予想したのとほぼ同じ結果だったし、弁明が許される時間が非常に短いこともあり、既定路線と思われる。中には「厳しすぎる」との意見もあるが、おおむね「甘い」との評価が下されると思う。岸田総理は「ハイ、処分しましたよ。幕引きですね」とばかり、こちらも足元が揺らいでいるバイデン大統領のところに飛んで行ってしまった。

 

【一覧表あり】安倍派幹部の塩谷、世耕両氏に離党勧告 裏金事件で自民党が39人処分:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

 一番詳しかったのが、日頃政府に批判的な東京新聞のこの記事。収支報告書に不記載があったとした議員の名前、選挙区、今回の処分内容まで精緻にまとめてくれている。

 

        

 

 本当にクビにした人は少なく、党員資格停止の議員も、もし衆議院の任期満了までに解散がなければ、正々堂々自民党公認で出馬できる。仮に総選挙がそれまでにあったとしても、一度だけ無所属で禊選挙を戦えばいい。一方で、役職停止などの処分を受けた人は多い。岸田総裁から見れば、それらの人たちは政務三役はもちろん、党の役職から公然と外せるわけだ。

 

 そう考えると、これは「処分」に名を借りた「人事」だったことになる。さすがは「総理になってやりたいのは人事」と言っただけのことはある。政権の支持率も、自民党の支持率も関係なく、党内に強力なガバナンスを利かせるために裏金問題を利用したのだろう。

 

 組織を束ねるものとして、目の上の瘤みたいな重鎮や組織が存在することはある。それらをどう黙らせるか、排除するかを考えるのだが、一番いいのは包摂して取り込んでしまうこと。今回岸田総裁は、包摂とは真逆の統治手法を採った。

 

 これで「大宏池会」以外の人たちの離反の可能性が高まりました。僕が希望した自民党の割れ方(*1)とは違うのですが、ひょっとすると政界再編に至るかもしれません。

 

*1:まだ「影の内閣」にも早すぎる - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)