Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

「怒り狂った」実験艦の宿命

 1年余り前、この船が日本に寄港し訓練とも作戦行動ともつかない動きを見せた時、北朝鮮の金総書記は震え上がったとも言われる。駆逐艦とはいえ排水量15,000トンほどもあるのに、レーダー上は小さな漁船にしか見えない最新のステルス性能を持っている「ズムウォルト」。数々の新鋭武装も持ち、総書記の「斬首作戦」には適当な戦力だったからだ。

 

金正恩の焦りを生んだもの - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 しかしその「ズムウォルト」も、長期のドック入りをして大改装されることが決まった。

 

異形のステルス艦「ズムウォルト」ようやく使いものに?「1発=1億円砲」を捨てて装備する新兵器とは | 乗りものニュース (trafficnews.jp)

 

 最大の改装ポイントは2門ある主砲(155mmAGS)を撤去して、陸軍と海軍が個別に開発している極超音速兵器(マッハ5以上の速度)を12基搭載するらしい。

 

    

 

 もともと21世紀の軍艦の在り方を検討するための実験艦だったのだから仕方ないのだが、いろいろいじくりまわされているだけのような気もする。このまま実戦を経ることもなく廃艦となるとしたら寂しい限りだ。

 

 約100年前、似たような運命をたどった軍艦がある。英国海軍の「フューリアス」、直訳すれば「怒り狂った」となる。1916年に約20,000トンの排水量で竣工した時は、前後に46cmの主砲各1門を備えた巡洋艦だった。巨砲搭載実験の船だったが、命中すれば巡洋艦ごときは吹き飛ぶとはいえ、2門では実用にならない(*1)。

 

 その後甲板の主砲を外して航空機を搭載したが中途半端、結局前の主砲も艦橋も外して全通型の航空甲板を備えた空母に改装された。空母としての能力にも限界があったが、最大33機の艦載機を搭載してドイツ戦艦を追うなどの実戦は経験している。第二次世界大戦の行方が見えたところで退役し、解体されている。

 

 さて、「ズムウォルト」の将来はどうなるのでしょうか?

 

*1:「大和」級は9門の46cm砲を搭載して4万m先の目標を狙えた。しかし散布界が大きく、命中は「まぐれ」を期待するしかなかった。9門でもそうなのだから・・・。