Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

スラヴァ級ミサイル巡洋艦

 ロシアのウクライナ侵攻は、出口の見えない戦いが続いている。陸上戦力では圧倒的優位を自認していたのだが、開戦直後からその「アテ」は外れることになった。まさに「戦いはやってみなければ分からない」という格言通りである。

 

 ロシアはもともと陸軍国、ロマノフ王朝末期に大艦隊を編成したこともあったが、新興国日本の艦隊に、黄海対馬沖で壊滅させられている。第二次世界大戦では大型艦の活動はほとんどなく、バルト海黒海に閉じ込められたままだった。それでも米ソ冷戦時代には、そこそこの艦隊編成を目指していた。しかし冷戦終了で、以降の艦艇(特に大型艦艇)の新規開発・配備は止まってしまった。

 

 2014年のクリミア併合は、ロシアにとって「黒海艦隊」の基地の安全を確保する意味もあった。その艦隊だが、今回のウクライナ侵攻にも当然参加していた。しかし先月はベルジャーンシク港でタピール級揚陸艦「サハロフ」が沈められ、先週艦隊旗艦のスラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈んだ。両者ともウクライナ軍の地対艦ミサイルの餌食になったと思われる。

 

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◆サハロフ

 満載排水量4,700トンの揚陸艦、就役1964年。タピール級14隻の1隻だが、同級は老朽艦であり、ほとんど動静は伝えられていない。黒海艦隊には「サハロフ」ともう1隻が配備されていたようだ。

 

◇モスクワ

 もともとはソ連海軍の「スラヴァ」、基準排水量9,300トン。1982年に就役して黒海艦隊に配属された。ソ連崩壊で「モスクワ」と改名している。同型艦は4隻あり、北海艦隊・太平洋艦隊に1隻ずつ配備され、最後の「コムソモーレツ」は未完成のままウクライナに譲渡され、まだ黒海のどこかに浮いているらしい。

 

 甲板上の物々しい発射管は、艦対艦ミサイル16基を格納している。斉射能力を高めるために、発射管を多数装備しているのだ。後継艦であるキーロフ級原子力推進・基準排水量24,300トン)がVLS方式の発射管をもち、すっきりさせた上甲板をしているのと比べると、古めかしさがただよう。

 

 1982年就役とはずいぶん古い艦。海上自衛隊の一番古い現役大型艦は、1988年の「あさぎり型」である。大きさでは最新鋭のイージス艦「まや」(8,200トン)を上回るのだが、実戦でどれほど役に立ったのかは不明だ。T-72を主力にしている陸軍同様、旧態依然の軍隊だったことがよくわかりますね。