「(政治の世界では)数は力、力はカネだ」というのは、故田中角栄元総理の金言である。この言葉の次に「カネは数だ」とも付け加えることができ、この3要素は集まり始めればスパイラル的に増えていく性質があることを示している。
このところ自民党の裏金問題がニュースにならない日はないが、派閥を解消しても、政治資金規正法を強化しても、問題の本質は変わらないと思う。本質とは、地元選挙区などで票という「数」を集める作業に「力(威信・評判・知名度等)」と「カネ」が要ることだ。
決して買収のことだけをあげつらっているわけではなく、日ごろからの選挙区での政治活動を助けてくれる下部組織の運営にはカネがかかるのだ。本来政策を考えるはずの(公費で賄われている)政策秘書が、地元会合に顔を出すため駆け回っているのが実態だろう。
正式には下部組織の一員でなくても、有力なサポーターなのが党員。この「数」は、間違いなく「力」だ。各政党の党員数をBingに聞いたところ、
自由民主党 100万人以上
立憲民主党 5万人以上
日本維新の会 5万人以上
公明党 4万人以上
日本共産党 3万人以上
国民民主党 1万人以上
との回答が返ってきた。菅総理時代、自民党本部を訪れた時「党員目標120万人」との掲示を見て、意外に少ないなと思った(*1)のだが、こうしてみると自民党員の多さは際立っている。ただ小選挙区数300で割ると、120万人いてもわずか4,000人。創価学会の集票力は2~3万人/選挙区と言われるから、とても及ばない。
「数」が不足だと言うなら「カネ」はどうか?自民党員の党費は年間4,000円/人というから、小選挙区あたりだと1,600万円。さほどの資金源とは言えまい。結局自民党員などの下部組織は、運動力という「力」を使って地域で集票活動をするのがミッションになり、そのための「カネ」は議員なり派閥、党なりが用意せざるを得ない。
<続く>