僕も国連(United Nation)の活動には敬意を払っている。地球は一つしかなく、200以上の国や地域があろうとも、皆が協力し合える場は必要だ。僕が専門にしてきたデジタル政策についても、国連に動いてほしいと思ったことはあるし、それなりにしてくれている(*1)とは思う。
しかしこのところ、推進役たる先進国・大国が内向きになり、以前にもまして機能不全が目立つようになった。先月行われたCOP29には、日本の石破総理だけでなく、習大人、バイデン大統領、ショルツ首相、フォン・デア・ライエン委員長らが姿を見せなかった。皆、内政が混乱状態だったし、それを言い訳に目立つ場所に行きたくなかったのかもしれない。また、議長国アゼルバイジャンの大統領は、天然ガスや石油を「神の贈り物」として石油産業への非難を批判している(*2)。

国連のグテーレス事務総長は、温暖化対策待ったなしとして、各国に資金拠出を呼び掛けた(*3)。しかし、トランプ政権誕生間近の米国、国内経済立て直しで手一杯の中国、右派台頭で環境問題に後ろ向きな欧州、「外国にはポンポン金を出す」と批判されている日本政府など、容易に呼びかけに応じるとは思えない。
これらの国からすると国連は「カネ出せというだけの存在」である。それを察してか、国連はグローバルサウス諸国にも資金提供を求めた。彼らから見れば、国連は「役に立たない上にカネまで出せと言うのか」である。
COPだけではなく、方々で起きる紛争にまったく力のない国連を見せられて、国際連携は破綻の瀬戸際だと思います。トランプ先生が大好きの「2国間ディール」ばかりになってしまうのでしょうか?
*1:例えばサイバーセキュリティの活動(Open Ended WG)
サイバーセキュリティに関する国連オープン・エンド作業部会(2021年-2025年)第1回会合の開催|外務省