Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

これは立派に「歴史決議」

 米国の病理の中で、やはり一番根深いものは人種差別。特にアフリカ系アメリカ人に関するものだ。「COVID-19」禍であっても「Black Lives Matter:BLM」運動は衰えを知らず、これに関連する事件も後を絶たない。昨年もウイスコンシン州ケノーシャで行われていた(白人)警官の暴力に反対するデモの最中に、悲劇が起きた。

 

 デモに対して当時17歳だった白人青年カイル・リッテンハウス被告が、AR15を撃ちかけ2名を射殺、1名を負傷させたというもの。この度その一審が終了、評決は「正当防衛による無罪」だった。恐らくは陪審員裁判だったのだろうが、どういう経緯でその結論が出たのかには興味を惹かれる。AR15などの半自動小銃が護身用の武器であるはずはなく、最初から殺意(に近い何か)を持って被告は現場に行ったはずだ。

 

 被告は評決に泣き崩れたと言うが、極右や銃器至上主義者からは「若き英雄」ともてはやされているとも聞く。当然デモ参加者やアフリカ系市民にとっては許せない評決であり、反発も強まっている。

 

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 一方、55年前の裁判に関し、終身刑を言い渡されていた名の囚人(いずれも仮釈放済みで、一人は故人)に対し、有罪判決を取り消す決定も成されている。その事件とは「マルコムX暗殺」。

 

マルコムX氏暗殺、2人の有罪取り消し 判決から55年 - BBCニュース

 

 先鋭的である意味暴力的だった黒人解放運動家マルコムXが、ハーレムで射殺されたのは1965年のこと。家族の目の前での事件だったというから、目撃者はいたはずなのに真犯人を取り違えたことになる。実は今年の2月に、遺族が新しい証拠を提出し再審を求めていた。その証拠によれば、警察当局の関与があったという。

 

 この時期、米国では大物の暗殺が相次いだ。ケネディ大統領、ケネディ司法長官、キング牧師、そしてマルコムX。例えば大統領暗殺は、警察・検察が主張するオズワルド容疑者の単独犯行とはとても考えられず、すべては2039年に明らかになるとされている。

 

狙撃手は3人いた - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

 

 今回の「決定」が新しい証拠による警察当局の関与を認めた結果ならば、これは歴史上の重要「決議」である。いろいろ批判される米国の三権分立だが、この事件を55年ぶりに明らかにするならまっとうな制度と言えよう。ねえ、習大人。これこそ「歴史決議」ではないですか?