Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

法曹界のDX with Cybersecurity

 法曹界といえばテクノロジーの世界とは対極にある業界だというのが、普通の感覚だろう。ただ僕は高校時代は法学部志望だったし、工学部から「技術が命」みたいな企業に就職してからも、趣味で法律は勉強していた。だから昨今のDXブームで法曹界がどう考えているのか、興味を持っていた。

 

 昨年来の「COVID-19」騒ぎで裁判員裁判が遅延していると聞いて、イタリアの裁判制度を参考に、重大な刑事事件でも被告人が罪を認めているような件なら、裁判官・検察官・弁護人・被告人がオンラインで会合し、罪状を決めてしまってはどうかと考えた。被告人が無罪を主張するケースは、リアルに裁判員を立てて争えばいい。

 

 もっと言えば、裁判員裁判だってオンラインでいいではないかとすら思った。それでも頭の固い(失礼!)法曹界じゃ無理だろうなと思ったのだが、民事訴訟については論点整理をオンラインで行うこともあるという。また2025年までに、民事訴訟を全部電子化するのが政府方針だともある。

 

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法律事務所、サイバー攻撃の標的に 大手が対策強化: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 ただそれに伴って、サイバーリスクが増しているとの記事があった。すでに電子化の進んでいる米国法律事務所では、深刻な被害が出ているらしい。日本でも急速に進展するテレワークで、侵入を受けるリスクが増している。神奈川県の法律事務所では、昨秋にランサムウェア攻撃を受け業務Fileが使えなくなった。昨今はやりの「二重の脅迫」手口だと、File暗号化の前に盗み出している可能性もある。

 

 脅威を感じた法律事務所では、VPNを使うなど在宅勤務でも所内と同程度のセキュリティを確保したと言っている。努力には敬意を表しながら、VPN自身の脆弱性を突いてくる攻撃もあることを申しあげておきたい。法曹界もDX with Cybersecurityに真剣に取組、日々精進する時代となったようだ。

 

 日本ではどうか分からないが、法律事務所という業種は、米国では政治や外交にも深く関わっている。以前国務省でデジタル政策をやっていた男が、有力法律事務所に転職して日本に来た。僕に「安全なネットワークを作る国際スキームに参加する日本企業を募集する」と言った。

 

 その法律事務所なら、一部政府機関と同様の情報を持っているわけです。政府機関よりはねらい目と見てくる可能性もありますからね。