Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

誰も取り残さない電子政府

 「デジタル庁」が発足して半月が経った。当たり前だが、現時点では大きな動きはない。概算要求を見ても、霞ヶ関の各府省のIT予算を束ねたので、それが約5,000億円。それ以外にいくつかデジタル庁ならではの新規予算も見られるが、精々数億円規模でケタが違い過ぎる。まずは「束ねた」ことで初年度は動き出すしかないのも、仕方ないと言える。

 

 僕はこれまで20年余の電子政府整備状況を見て、主に供給側の責任を論じてきた。しかし今日は、受給側の条件を考えてみたい。平井大臣は「誰も取り残さない」と言っていて、これは政治家としては正しい。ただその実現には受給側にも求めるものがあって「取り残されないように努力すること」が必要だ。最初から「デジタルは使わない」という信念に人は、供給側から救うことは難しい。

 

 さらに「デジタルは使いたいけれど、使えない」というスキルの問題もある。この点をどう考えるか、スキルについて興味深い記事があった。

 

学歴による社会の分断 「日本人の3人に1人は日本語が読めない」調査結果も | マネーポストWEB (moneypost.jp)

 

◆日本人の1/3は日本語を正しく読解できない(短いものなら読めることもある)

◆数的思考力も1/3は小学生程度

◆PCを使った基本的な作業ができるのは10%程度

◆65歳以下でも、日本人の1/3はPCを使えない

 

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 では、この1/3の市民と電子政府はどう向き合えばいいのか?回答のひとつはスマホ&ショートメッセージ利用である。

 

中国のインターネット利用 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 で紹介したように、中国ではPCやタブレットの利用が減りほぼすべて(99.7%)のインターネット接続はがスマホに置き換わっている。日本人もスマホを持つ人は相当数に上るしまだ増えるだろうから、電子政府スマホ基準にするというのは効果がある。

 

 しかしスマホすら持っていない、使えない人にはどうすればいいか。答えは「代理人制度」しかないように思う。電子政府を使える人が、使えない人の代理で申請等を済ませるのだ。当然代理フィーはいただくし、大半の応答はAIで代替え可能だろうから、新産業になると思う。

 

 今度規制改革会議議長に就任された夏野剛氏には、つまらぬ非難など気にせずにサイバー空間での簡便な代理人制度を検討していただきたいと思います。急いでね。