Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

ニューノーマル時代の経済・社会(3/終)

 「ニューノーマル時代のITの活用に関する懇談会」では、「アフターコロナの社会は従前とは大きく異なるものとなる。そうした状況下で IT が果たすべき役割とそれに必要な施策や、アフターコロナと IT に関するビック・ピクチャーについてご意見をいただく」ことを開催趣旨としている。

 

 仮説/論点として事務局が挙げた中で僕が一番重要だと思ったのは、「新たな格差を生まない」という一文。加えて、これまでの格差を是正することも必要だと思った。だからこそオンラインへのアクセス権は「基本的人権」なのだと、僕は思う。サイバー空間で社会を再構築した時、そこからこぼれ落ちる市民がいてはいけない。格差の是正ってできるのか?と問われたので、2009年ジェームズ・キャメロン監督が発表した映画「アバター」を例にとって応えた。

 

 戦傷で下半身不随となった海兵隊員が、ある星で人造生物アバターと精神接続して自由に衛星上を飛び廻る話である。3D映像の美しさで評判となった映画だが、新技術で構築された別空間で、リアル空間での障害を克服する話と僕は捉えている。

 

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 それではオンライン、つまりサイバー空間へのアクセスを阻むものは何だろう?

 

◆インターネットインフラが手の届くところに無い

 21世紀初めごろは、日本中でブロードバンドインフラが届いていないところは割合あった。これはほぼ解消され、4Gであればほぼ全国をカバーできている。WiFi環境もかなり広がっているし、ケーブルTVなどの事業者が地方にもネットを張っている。

 

◆PC、スマホ、通信契約料が高く購入できない

 経済的に苦しいという人たちには、公的支援が必要だ。住宅費助成などと並んで機器レンタルやサービス料金助成を行うべきだ。

 

◆そうはいっても使えないよね

 これが最大の課題。かつて北欧諸国の電子政府を見学した時、全部電子申請とされてできるの?と通訳をしてくれた高齢の日本人女性に聞いた。自分ではインターネットは使えないが、代理人スキームがあるので助かっているという。日本でも代理をしてくれる人や企業、さらに地域コミュニティのボランティアなど、重層的な支援体制はとれると思う。

 

 ニューノーマル時代には、サイバー空間がリアル空間以上の機能をもって経済・社会を支えるのだが、恩恵は全市民が受けるようにならないと明るい未来にはなりませんよね。