「三国志」を扱ったシミュレーションゲームで、EPOC社が出していた「三国志演義」はあまたの武将・軍師がコマになって、そこにはいくつもの能力値が記されていた。本当は統治能力や采配力が重要なのだが、そこは戦争好きのゲーマーたち。最初に見るのは戦闘力である。この数値は合戦というよりは、一騎打ちで使うもの。
戦いには士気が重要。今では考えられないが、最初に軍を代表する武将が名乗りを上げて前に出て、相手からそれに対抗する武将が出てきて一騎打ちをする。勝った方の軍は士気が上がり、負けた方は下がる。下手をすると逃げ出す兵士や部隊が出てきて、挙句戦わずして総崩れなどというのもあるかもしれない。
このゲームはそのあたりをルール化していて、まず一騎打ちに勝つと有利になる。沢山兵士を集めても、強い武将が率いる精兵に蹴散らされてしまう。だからプレーヤーは戦闘力の高い武将をリクルートしようと必死だ。記憶では戦闘力が一番高い6だったのが呂布、裏切りの帝王みたいな武将だが確かに強かった。劉備・関羽・張飛の三人がかりでも、斃せなかった豪傑だ。
続く5の戦闘力を持った武将は何人かいて、デザイナーの趣味だろうが、弱い国「蜀」に多かった。そのうちの一人が、有名な関羽将軍。義兄弟劉備を支え、最後まで荊州を護って、最後は捕縛されて斬首された。信義に篤い武将ゆえ「商売の神様」とされ、横浜中華街の守護神にもなっている。
中国、巨大な関羽像撤去 無駄な公共事業の象徴 - 産経ニュース (sankei.com)
5年前にその荊州(今は湖北省荊州市)で、高さ57mの巨大な関羽像が竣工した。青銅製で重さは1,200トンもあるという。トレードマークの青龍偃月刀を構えた雄姿である。ところがこの度、この像が違法建築と判定されて撤去されることになった。すでに首の部分がない。関羽将軍は、荊州の地で二度目の斬首に遭ったわけだ。
中国(地方)政府がなぜ撤去を決めたのか?無駄な公共事業の反省とも、作って壊して全部公共事業(ケインズ理論)とも言われるが、僕は習大人の「偶像崇拝嫌い」ではないかと推理する。毛沢東に倣い「崇拝してもらうのは自分だけ」という習大人は、2,000年ほど前の英雄も気に入らなかったのではなかろうか?