Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

北朝鮮ミサイルと敵基地攻撃能力

 しばらく鳴りを潜めて、ダイエットに励んでいたらしい「北の首領さま」が、突然ミサイルのアピールを始めた。最初は6時間飛んだという巡航ミサイル、続いて変則的な飛び方をする弾道ミサイルである。

 

 8月の米韓合同軍事演習の時に撃つのではなく、日米間の外交実務者会合が行われていて、中国の王毅外相が韓国を訪問し文大統領に会っているタイミングで撃ってきた。特に後者については中国のメンツを潰しかねないリスクを孕んでいるはずだが、それほどまでにして「振り向いて・・・」と言いたかったようだ。

 

 日本ではちょうど自民党総裁選の最中、各候補は、憲法靖国原発・皇室などいろいろな踏み絵を踏まされるのだが、その中に「敵基地攻撃能力」というものもある。

 

高市候補 可能とするべき

・岸田候補 選択肢のひとつ

・河野候補 ずいぶん古い議論

 

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 と、回答は分かれた。積極推進の高市候補を、「北の首領」は応援するかのようなミサイル発射に見えなくもない。ちなみに公明党の竹内政調会長は「非常に危うい議論」と反対の意思を示し、野党4党共闘は・・・聞くまでもないようだ。河野候補は賛否を直接答えず、その能力自体必要ないとしている。このスタンスには、軍事の専門家も賛同している。

 

「敵基地攻撃」という表現がもはや現実に即していない理由 誤表現は廃止せよ、長射程ミサイルは「基地」からは飛んでこない(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

 

 純粋にミサイル防衛という意味では、河野候補もこの専門家の意見も正しい。固定基地から飛んでくる、しかも液体燃料注入に時間がかかるので、発射の予知もできる時代の話だ。先日NHK-BSで放映された潜水艦映画「クリムゾン・タイド」では、ロシアのミサイル基地を先制攻撃する任務のミサイル原潜内の葛藤が描かれていた。

 

 今は固定燃料で、プラットフォームも移動式なので、攻撃側はいつでも撃てる。空中からも、海中からもだ。だから「敵国領土内の基地を攻撃できる」だけでは、防衛は不十分である。

 

 ただ高市候補らの言う「敵基地攻撃」の意味は、ミサイル防衛に限らないと思う。あらゆる日本国への脅威に対し、その源が敵国内でもこれを無力化できる技術・装備・訓練・法的根拠を言っているように思う。

 

 サイバー攻撃の拠点を速やかに無力化することも「敵基地攻撃」の一種、これは可能にしてもらいたいですよね。