インターネット&ウェブは「デジタル社会」の基盤であり、その上で多くのサービスが登場してきた。しかし社会活動において求められる責任関係やそれによってもたらされる安心を体現する仕組みが不十分で、ユーザーが信頼の多くをプラットフォーム事業者にゆだねている弊害が顕著になったと白書は言う。弊害として、
・フェイクニュース、偽データなどデータ流通への懸念
・生体情報なども含めたデータの集約・統合によるプライバシーリスク
・感染症対策を契機に議論され始めたプライバシーと公益のバランス
・サイロ化された産業データの未活用
・勝者総取り等によるエコシステムのサスティナビリティへの懸念
・社会活動を行う上での社会規範によるガバナンスの機能不全
の例が挙げられている。要は、どのデータを誰がどのように使っていいかというのが不透明だと言っているようだ。寡占プラットフォーマーへの懸念も根強い。対策としてはデータの出し手や受け手を含めて、その内容や流通を検証可能にすることが考えられるが、それが行き過ぎると「監視社会」になってしまう。「Big Brother」登場は困るのだが、かといって今のように寡占プラットフォーマーに握られているのも良くない。プラットフォーマーは大半「外資」だし・・・。
そこで白書は「第三の道」を行くべきだと主張する。そこで提案されたのが「Trusted Web」である。その仕組みとは、
・特定サービスに依存せず、
・相手に開示するデータのコントロールを可能とし、
・データのやり取りにおける合意形成の仕組みを取り入れ、
・検証できる領域を拡大し、
・これまで事実を確認せずに信用してきた領域を縮小し、
・相手が期待した通りにふるまうと信じる(Trust)度合いを高める
ものだという。どうも匿名が可能(と言うか前提)だった従来のWebと違い、認証できる相手同士(のみ)でデータ流通をする仕組みのようだ。認証できるということは「匿名」ではない。すでに知られているように現行Webは「Surface Web」であり、その下には「Dark Web」という闇社会が存在する。白書の主張は、「Surface Web」の上に実名で利用する「Trusted Web」をつくることだというのが、はっきりした。Webは三階層になるわけだ。
<続く>