20年前に関わったビジネスモデルに近いプランで、仕組みは当時よりはずっと洗練されている。
・広告主は、複数/多数集められる。
・単身、家族、戸建て、集合住宅など10のカテゴリに分けたデータ分析ができる。
・博報堂傘下のコンソーシアムが持つ携帯電話/IDなどのデータを掛け合わせる。
ただ、本当にこのビジネスモデルが成り立つかについては、まだ疑問符もつく。最大のものは、東京電力がコンソーシアムに渡すデータが匿名化されていること。個人情報保護法から言っても、東京電力利用者(当家もそうだ)は、利用データのそのままの形での流通に同意していない。これを匿名化すれば同意なく流通させられるのだが、そのデータを使ってコンソーシアムがおカネの回ることができるかが、まだよくわからない。
例えばこのエリアには単身世帯が多いというデータが貰えたとして、そこに住んでいると思われる携帯電話番号やIDのデバイスに広告を打って、どのくらいの精度が得られるのか?住所くらいでは絞り切れなくて、サイトの閲覧履歴などの方がよほどその消費者の性向を掴めるのではないか?またチラシの印刷などより、ずっと広告の配信コストは安いはず。だったら下手に絞り込まないで、すべてのデバイスに広告を打ってもいいのではないか?などの疑問が残る。
そこまで考えて続きを読むと、記事には面白い記述もあった。「22年4月の電気事業法改正で、電力会社はデータを電力事業以外にも使えるようになる。今回の試みはその準備としてモデル構築をするもの」という主旨が示されていた。
なるほど、ではこの試みはビジネスモデル構築のトライアルであると同時に、消費者の反応を見る「観測気球」なのだなと納得した。データ活用には4つの壁があり、
・データにアクセスできること
・データが(フォーマット等)使える状態にあること
・ビジネスモデルが回る(儲かる)こと
・社会的に容認される(炎上しない)こと
なのだが、今回のケースは2つまでは乗り越えている。残る2つの壁、特に「社会的な容認」は全くの未知数。「あいつが俺のデータで儲けているのはけしからん」という声がどれほど上がるのか、その程度を見極めようということだろう。
まさか、経産省の前にミニキャンプが出来てしまうような騒ぎにはならないと思っているのですが・・・。