Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

いろんなものが安くなる

 「コロナ禍」の自粛要請で、いろいろなものの消費が落ち込んでいる。地元スーパーでは、見たことの無いような食材が並んでいることもある。高級レストランにしか収めていなかった希少部位のお肉がその典型だが、魚介も、野菜も、果物だって手ごろな価格で手に入るようになった。

 

 暗い話題が多い中であえていいことを探すと、そんな食材をどう調理しようかと考える楽しみもあるのかなと思う。そのほかにも燃料消費が減って、先進国の大気汚染が少なくなったのも「いいこと」である。グレタちゃんも「やればできるじゃん」とお喜びかもしれない。

 

 もちろん、大量消費を支えてきたビジネスは大打撃を受けている。各国で航空会社の破綻が始まっているし、石油業界は苦境に陥っている。原油価格はOPEC+の生産調整合意にも関わらず下落を続け、1バレル10ドル前後まで下げてきた。2013年前後では100ドルあたりを上下していたので、1/10になってしまったということ。

 

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 もっぱら消費国である日本はいいとして、米国のシェール事業者は20ドルを割れば破綻すると言われているし、石油のみに頼っている中東諸国やロシアの経済への打撃は大きい。驚いたのは、原油先物価格が史上初のマイナスになったという報道。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58291780R20C20A4000000/

 

 要するに原油を売ります・・・ではなくて、原油にお金を付けますから引取ってと言っているわけ。もちろん現物ではなく先物なので、この取引によってドラム缶が動くわけではない。しかし「マイナス先物」は市場にショックを与えたようで、この日のニューヨーク市場は600ドル近い下げを記録した。

 

 日本市場も連動して下がるだろう。それにしても「市場」というのは不思議なものだ。トランプ先生が「経済対策」を発表すると、米国の死者が世界一の規模になろうが上昇する。ニューヨーク州が米国全体の半分近くの死者を出し、医療崩壊の報道が盛んに流れても、そのニューヨークで株は上がるのだ。

 

 さすがに「20世紀を支配した石油産業」へのダメージが予測されてここしばらく株価は下げに転じるだろうが、いつの間にか戻ってくる公算が高い。「市場」が本当に景況を表しているのか、正直門外漢の僕にはわかりません。実経済とは次元の違う、マネーゲームということでしょうか?