Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

自治体システムの仕様統一(前編)

 政府が1,700自治体でバラバラになっている情報システムの仕様統一を図るという話は、以前からあった。ただ菅政権でのデジタル化・デジタル庁設置の流れは、それを一歩実現に近づけるようになっている。具体的に期限を2025年と決め、予算を基金で積む。それを裏付ける新法の制定に動くという記事があった。

 

行政システム、乱立に歯止め: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 これは僕らにとっても歓迎すべきこと、住民情報・税・社会保障・就学などに関する情報サービス17分野を国が主導して標準化しようというのだから。言われるまでもなく業務システム・ソフトウェアをバラバラに発注しているので、カスタマイズの費用も含め予算は膨らんでいる。総務省の調査では、年間予算は4,800憶円に上る。大手システム会社の幹部も「仕様の統一、クラウド化で大幅に予算は減る」と認めている。

 

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 しかし事業縮小の危機感というよりは、その言葉の裏に「そう簡単には出来ないよね」というのが透けて見える。システム会社ではなく自治体側にもその思いはある。現実に先日平井大臣が全国知事会の飯泉会長との会見した時、「2025年までの統一は、地方の実情を十分に踏まえて取り組む」ように要望されている。

 

 言葉通りにとれば、人材や予算の面で支援してねと聞こえるが、安易な統一・現場を無視した仕様変更では住民サービスに混乱をきたすとクギを刺したものだろう。実際飯泉知事は「誰もが取り残されないデジタル社会を作るため」の協力を求めてもいる。

 

 このミッションは来年9月以降は新設されるデジタル庁に与えられるものだが、現時点では旧自治省でもあった総務省が進め、デジタル庁準備室がこれに注文を付ける形になろう。現に抜本的な仕様統一とクラウド化(によるコストダウン)を求める準備室に対し、総務省は早期のクラウド化は難しいと見ているとこの記事も言う。

 

 この意見はどちらも正しくて、作り直すのなら全国自治体システムを事実上1本化するのがいいに決まっている。しかし現実には、期限が決められている以上従来通り個別発注をせざるを得ない。その理由はシステムにはない。自治体の業務が統一されておらず、整理も不十分だということによる。

 

自治体システム標準化・・・の前に - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

<続く>