Cyber NINJA、只今参上

デジタル社会の世相をNINJAの視点で紐解きます。

自治体システム標準化・・・の前に

 ある高名な経済学者の方に「After COVID-19」時代の変革について、お話を伺う機会があった。100年前のスペイン風邪の時もそうだったのだが、来るべき変革が一気にやってくる。100年前は世界大戦による欧州の疲弊もあって、新興国アメリカの台頭が早まったのが例だという。

 

 僕らデジタル屋に一番響いたのは「行政システムの古さ」という指摘。特別定額給付金の例で言えば、オンラインで申請はできるのだが行政側ではそれを印刷して、郵送申請されたものと一緒に手作業で処理していた。20年前(森内閣)に国家のIT戦略を定めて「5年以内に世界最先端IT国家になる」と宣言したのは何だったのかということだ。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62204740S0A800C2MM8000/

 

 もちろん政府も今回のことで猛省をして、自治体システムの改良の乗り出すことになった。その要点が、1,700自治体でバラバラなシステムの仕様。この記事に言うように、住民票が縦書きだったり、横書きだったり、記入項目も微妙に違ったりする。自治体が個別にベンダーに発注するので、ベンダーが同じでも違ったシステムが出来上がってしまうわけだ。

 

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 そこで政府として標準的なシステム仕様を策定し、これに加入することを自治体に義務付ける法律を作ろうという動きだと上記の記事は述べている。これはとてもいいことで、以前こういうことを言うと、「国と地方は対等と定めた憲法の規定に違反する」と叱られたものだ。

 

 さて政府の姿勢は歓迎しながらも、僕は懸念を持っている。それはどの業界でもシステムを標準化する前にやることがあって、それが結構大変だからだ。それは「業務の統一・標準化」である。現場に今までやっていたことを変えろというと、「なんで変えなきゃいけない!」と反発されるわけ。

 

 ただ自治体業務標準化の動きは、政府とは別に着実に広がっている。ユニバーサルメニュー普及協会という団体が7~8年前から、地道な活動をしているのだ。大手のITベンダーやかなりの数の自治体も加入している。

 

https://universalmenu.org/universalmenu/

 

 自治体業務にはいずれも根拠法があり、各自治体で本来差は少ない。こういう活動を社会全体が後押ししてくれれば、新法も意味を持つことになるでしょう。